トルネードブロンド
原名:Tornade Blonde
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ルブタン
調香師:オリヴィエ・クレスプ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:30ml/20,900円、80ml/41,800円
ルブタンのシューズは最後に脱ぐシューズ
靴の裏に赤いペインティングが施されたシューズが広まるきっかけを作った男クリスチャン・ルブタン。フレデリック・マルの大親友であり、自身もフレグランス愛好家であるルブタンが、2016年9月1日に満を持して発売した「クリスチャン ルブタン コレクション」。
そのうちの一本である「トルネードブロンド」は、フランス語で「ブロンドの竜巻」という意味です。このブロンドとはブロンド美女ではなく、欲望の感情を呼び覚ます黄金の光を指します。オリヴィエ・クレスプにより調香されたフローラルの香りです。
砂糖漬けされたヴァイオレットとカシスの甘さに引き立てられたルバーブの輝きが、黄金の光をイメージするトップノートからはじまります。そして、ジャスミンサンバックとガーデニアを中心にブルガリアン・ローズとオレンジ・ブロッサムのフローラルブーケに香りは包まれます。
ベースのアニマリックなアンバーグリスと官能的なサンダルウッドとシダーウッドが、女性の引き締まった脚線美を連想させる躍動感溢れるドライダウンを生み出しています。
イリデセンス(光の変化や見る角度で虹のように色が変わる現象)がコンセプトの香りです。最もルブタンらしい香りとも言えます。3つの香りの中で最も優れた香りです。
「時には娼婦のように」な香り
SNS時代を象徴するような「私見て!もっと褒めて!」オーラが凄い香りです。しかし、恐ろしいことに、香りでルブタンのイメージを語るときに、ルブタンというブランドのイメージの本質が見えてしまうことです。
それは高級娼婦やそのような歌手や女優の「商品価値を高めるシューズ」というイメージであり、日本においては、キャッチ青年や高級風俗嬢のシューズというイメージです。これは10年前のドルチェ&ガッバーナやエンポリオ・アルマーニ・スパイラルに似たものなのですが、ルブタンはもしかしたらこのフレグランス・ライン(コスメライン)により、ブランドとしての神通力を失い衰退が始まる可能性があるのかもしれません。
それほどに、この香りは、見事なまでにブランドイメージを伝えているのです。
そこにあるのは、「私を見て!」スタイルで生きる人々の奥行きのなさと人間としての魅力の欠落。彼女たちは、流行に乗り、次の流行に乗ると、過去の流行はあっさりと捨て去る。つかの間の熱狂(かつてルブタンに夢中だった女性が、今はヴァレンティノに夢中であるように)。
しかし、私はこの香りが嫌いではありません。時に女性は娼婦のような振る舞いをしたくなるものですから・・・
香水データ
香水名:トルネードブロンド
原名:Tornade Blonde
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ルブタン
調香師:オリヴィエ・クレスプ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:30ml/20,900円、80ml/41,800円
トップノート:ルバーブ、ヴァイオレット、アンブレット、カシス
ミドルノート:ブルガリアン・ローズ、ジャスミンサンバック・アブソリュート、オレンジフラワー、ブラジル産ガーデニア
ラストノート:アンバーグリス、シダーウッド、オーストラリア産サンダルウッド、パチョリ