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メゾン・フランシス・クルジャン

【メゾン フランシス クルジャン】アクア ヴィタエ フォルテ(フランシス・クルジャン)

メゾン・フランシス・クルジャン
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アクア ヴィタエ フォルテ

原名:Aqua Vitae Forte
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/44,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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太陽を盗め!逆襲のアクア ヴィタエ

©Maison Francis Kurkdjian

2009年に発売された「アクア ユニヴェルサリス」からはじまる『アクア コレクション』の第ニ弾として「アクア ヴィタエ」(オード・トワレ版)は、2013年に発売されました。「アクア ヴィタエ」とは、〝生命の水〟の意味です。

フランシス・クルジャンにとって、本当に生み出したいものを生み出した、渾身の作品だったのですが、メゾン創立4年目にして誕生した(商業的に売れなかった)大失敗作でした。

かくして、「アクア ヴィタエの逆襲」(2015年には世界中で28本しか売れなかった)として、2015年9月に生み出されたオード・パルファム・ヴァージョンが「アクア ヴィタエ フォルテ」でした。

それは水と太陽がひとつになる「太陽がいっぱい」の瞬間=真っ白に燃え尽きるような瞬間を香りで表現した〝超生命水〟です。

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クルジャンが太陽神に仕える神官になった瞬間


イタリアのシチリア島からやって来たマンダリンと、カラブリアからやって来たベルガモットとレモンが一直線に並んだ瞬間この香りの幕は切って落とされます。すぐに、シナモン、カルダモン、ピンクペッパーの三種類のスパイスが太陽の光のように、シトラスを照らします。

60~70年代のサンローランのようなスタイリッシュさとティーのようなアロマティックさを併せ持つ秀逸なスパイスブレンドです。

シトラスそれぞれの甘さと苦みと酸味が一体化されているだけでなく、空気のように軽く、大自然のエナジーが肉体に宿っていくようなオープニングです。何よりもこの香りが神の領域に到達しているところは、シトラスを使用しているにもかかわらず、ほんの一瞬を除いて、フレッシュな感覚を与えないところにあります(すごく哲学的なのですが、新鮮なものには神は宿らない)。

そして、すぐに陽の光により温められたイランイランが、蕾が開いたばかりのオレンジ・ブロッサムのほのかに甘くソーピィーな香り(オリジナル版の主役だったヘディオンもこの香りにおいては脇役です)に支えられながら、クリーミースパイシーな甘さで包み込んでゆきます。

太陽の恵みに包まれながらも常に、シトラスが信じられないほど自然に、最初から最後まで同居しています。全てを強くしているにもかかわらず、柔らかく優しいのです。

やがて、太陽に温められたクリーミーなサンダルウッドと、バルサミックなベチバーが美しくブレンドされてゆき、その中にパウダリーなバニラが溶け込んでゆきます。

陳腐な表現で申し訳ないのですが、この香りは、太陽神に仕える神官=フランシス・クルジャンが生み出した〝太陽の持つ複雑さと繊細さを小さなボトルに封印したエリクサー〟だと言えます。

間違いなく、クルジャンの最高傑作の一つであり、神の言葉を聞いた男が生み出した、とんでもなく優しく柔らかい太陽の香りです。そうまさに、彼こそが2015年に太陽を盗んだ男になったのでした(1979年は沢田研二、1960年はアラン・ドロン)。

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香水データ

香水名:アクア ヴィタエ フォルテ
原名:Aqua Vitae Forte
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/44,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:シチリア産マンダリン、カラブリア産ベルガモット、レモン、セイロン産シナモン、グアテマラ産カルダモン、ピンク・ペッパー
ミドルノート:マダガスカル産イランイラン、チュニジア産オレンジ・ブロッサム
ラストノート:マイソール産サンダルウッド、ハイチ産ベチバー