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パコ・ラバンヌ

【パコ ラバンヌ】インビクタス(アン・フリッポ/ドミニク・ロピオン/オリヴィエ・ポルジュ)

パコ・ラバンヌ
©Paco Rabanne
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インビクタス

原名:Invictus
種類:オード・トワレ
ブランド:パコ・ラバンヌ
調香師:アン・フリッポ、ドミニク・ロピオン、オリヴィエ・ポルジュ、ヴェロニク・ ナイバーグ
発表年:2013年
対象性別:男性
価格:日本未発売

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すべての女性から求められる、無敵の男になる香り

バーバレラとパイガー。『バーバレラ』(1968)

バーバレラとパイガー。『バーバレラ』(1968)

1966年に自分の名を冠したファッション・ブランドを創業したパコ・ラバンヌ(1934-2023)は、同年に〝着ることのできない12着のドレス〟を発表し、ファッションの世界に一大センセーションを巻き起こしました。

そんな彼のアイコニック・ドレスと言えば甲冑ドレス=「新しい素材で武装した戦い」=女性の社会進出のための戦闘着としてのアマゾネス・ファッションです。その精神を映画の中に永遠に焼き付けたのが1968年の『バーバレラ』でした。

『バーバレラ』で主人公バーバレラを演じるジェーン・フォンダが着ていた衣装は、すべてパコ・ラバンヌがデザインしたものでした。そんな女戦士を助ける天使パイガーを21世紀に香りとして転生させたのが(1969年から香水販売で提携している)プーチ社の指揮の下、2013年7月に発売された「インビクタス」でした。

空前のヒットを記録した「ワンミリオン」(2008)から、五年ぶりのメンズ・フレグランスの新作でした。

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アルティメット・ウォリアーを作る香り

©Paco Rabanne

すべては夢から始まった。最初の夢は、「ブラックXS」に体現されているように、ロックスターになることだった。2つ目の夢は、お金持ちになって有名になることだった。それが私たちに「ワンミリオン」をもたらした。今日、すべての男性の夢は勝利である。チャンピオンになること。究極のファンタジーは、勝者になること、羨望の的となる男、誰もがなりたいと憧れる男になること、すべての女性から求められる男になることだ。

伝統的なスポーツフレグランスは出したくなかった。誰もがすでにやっていることだから、私たちがやる理由はない。香水市場は、今飽和状態だ。だから、私たちがやるべきことは、ただブランドの精神を表現するだけでなく、思いがけない、他とは違う大胆な方法でやってのけることだ。今日、リスクを取らないことは最も危険なことなのだから。

ヴァンサン・ティロワ

パコ・ラバンヌのフレグランス部門を復興させたのは、2001年にプーチ社に入社したヴァンサン・ティロワの手腕によるものでした。彼はチーフ・ブランド・オフィサーとして「ブラックXS」(2005)「ワンミリオン」(2008、世界中で5秒に1本売れている香り)「レディ ミリオン」(2010)といった大ヒット作を生み出してゆきました。

〝インビクタス〟とはラテン語で「無敵の、征服できない」という意味です。それはまさに筋肉を含むすべての戦闘力を21世紀仕様にアップデイトしたアルティメット・ウォリアーによる「勝者の燃える肌を、冷ましてくれる愛撫」というコンセプトで生み出された香りです。

アクアティック・シトラスの香りはIFF社のアン・フリッポドミニク・ロピオンオリヴィエ・ポルジュヴェロニク・ ナイバーグの4人によって2年半以上の歳月をかけて調香されました。2015年には、相方フレグランスとして「オリンピア」が発売されました。

セドリック・ラゴーによりデザインされた、トロフィーをモチーフにしたボトルデザインがとても斬新です。

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塩辛い肌、でも海の匂いはなく、舐めて味わいたくなるような肌。

©Paco Rabanne

©Paco Rabanne

©Paco Rabanne

「インビクタス」はチャンピオンの肌の香りがします。焼けるような肌を凍らせたような香りです。官能的な新鮮さ、まだ見たことのないものを創り出す必要がありました。ユニークでありながら商業的である。これは簡単なことではありませんでした。

だから2年半の歳月と5,500以上のバージョンを要しました。そして私自身は、最終的なフォーミュラが完成したとき、勝利を確信しました。

ヴェロニク・ ナイバーグ

シンプルに〝成功(サクセス)の香り〟を生み出して欲しいという要求に応えて生み出された〝無敵の人の香り〟は、大きな波がやって来て、逃げるのではなく、その大波に乗るように、マリンの大波に、圧搾されたグレープフルーツと甘くジューシーなオレンジが爽快に乗り、スプラッシュするように弾ける情景からはじまります。

すぐに、王者のシンボルであるアロマティックなローリエ(月桂冠)と甘く華やかなジャスミンが到来します。神秘的なパチョリがスーっと広がった後、ここからがこの香りの醍醐味となります。

伝統的な嗅覚ピラミッドの領域を飛び越えた、相反するアコードが、コントラストを生み出しながら、お互いの良さを引き出していくように、アンバーグリス=アンブロキサンが光臨するのです。

アンブロキサンでメンズのフレグランスと言えば、この頃「ブルー ドゥ シャネル」(2010)が王者に君臨していました。この王者は、オリヴィエの父ジャック・ポルジュにより擁立された王者でした。そんな父を超えてみせようとオリヴィエが気合を入れていたことは、想像に難くありません。

トップにブラックオリーブのニュアンスを加え、だんだんと満ち広がるフレッシュでフルーティなマリーンムスクとガイアックウッド×オークモスのコントラストが、揺ぎ無き自信を与えていくかのように、身体の内から立ち上るように全身を包み込むオーラが生み出されていくのです。

まさに調香師の一人ヴェロニクが仰っているように「私たちが目指していたのは、塩辛い肌、でも海の匂いはなく、舐めて味わいたくなるような肌でした」そのものの香りなのです。

キャンペーンモデルは、オーストラリアを代表するラグビー・プレイヤーだったニック・ヤングクエスト(1983-)です。6日間かけてバルセロナのオリンピックスタジアムで撮影されました。

バック・ミュージックは、カニエ・ウェストの「パワー」。こうしてカニエのMVを見てみると、このフレグランスのCFが、そのパロディであることがよくわかります。

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香水データ

香水名:インビクタス
原名:Invictus
種類:オード・トワレ
ブランド:パコ・ラバンヌ
調香師:アン・フリッポ、ドミニク・ロピオン、オリヴィエ・ポルジュ、ヴェロニク・ ナイバーグ
発表年:2013年
対象性別:男性
価格:日本未発売


トップノート:グレープフルーツ、マリンアコード、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:ローリエ、ジャスミン、ヘディオン
ラストノート:ガイアックウッド、オークモス、パチョリ、アンバーグリス