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カイエデモード香水図鑑を応援する|2025年5月30日~6月1日終日

2025年夏に9年目を迎えるカイエデモード香水図鑑。このたび聖地調査が完了し、5月より東京・横浜・名古屋・大阪・京都・神戸の約100か所の『香水超聖地ガイド』の更新を行っております(6月中に完成予定)。さらに、4月末より、これからの日本の香水業界を動かしていく25人のキーパーソンのインタビュー記事『フレグランス・アイコン・インタビューズ』を公開させて頂いております。

この大いなる活動にあたり、2025年5月30日~6月1日終日にあたりご寄付を募らせて頂きます(エックスのDMが半日不調であったため1日延期させて頂きます)

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『冒険者たち』2|ジョアンナ・シムカスとパコ・ラバンヌ

ジョアンナ・シムカス
ジョアンナ・シムカス
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作品データ

作品名:冒険者たち Les Aventuriers (1967)
監督:ロベール・アンリコ
衣装:パコ・ラバンヌ
出演者:アラン・ドロン/リノ・ヴァンチュラ/ジョアンナ・シムカス

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パコ・ラバンヌの甲冑ドレス

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不思議とストーリーの邪魔をしなかったパコ・ラバンヌの甲冑ドレス。

アルミニウム・ディスクで作られています。

レティシアが、廃鉄で創作したアートの展示会を開く時に着ているドレス、これこそ、パコ・ラバンヌ(1934-)による甲冑ドレスなのです。その形状は、まさに〝着ることのできない12着のドレス〟の1つに相応しいドレスです。イヤリングも指輪もスチールに鋲を打ち込んだもので、ハンドバッグもスチール製のイッセイ・ミヤケのバオバオのようなバッグです。

丁度この映画の撮影時期である1966年にパコ・ラバンヌは、自分の名前を掲げたブランドを設立したばかりでした。甲冑ドレスの意味は、そのものずばり、女性の社会進出のための戦闘着としてのアマゾネス・ファッションの意味を兼ね備えています。

レティシアが着るこのドレスは、まさに彼女の現代アートに対する意気込みを示しているドレスなのです。しかし、その〝着ることのできないドレス〟を完璧に着こなせているジョアンナ・シムカスは、さすがです。フレンチ・カジュアルの王道を行く人は、ジェーン・バーキンもそうですが、他のテイストも容易に着こなせるということなのでしょう。

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パコ・ラバンヌの1960年代

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エルサ・ペレッティ(1974年にティファニーのデザイナーとなる)、サルバドール・ダリ。1960年代後半。

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ジャンプスーツ。1966年。

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アルミニウム・チェーン・ドレス。1966年。

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アンファン・テリブル(恐るべき子供)

1960年代半ばにピエール・カルダン、アンドレ・クレージュらが前衛的なファッション・デザインを発表しました。しかし、この男性のデザインは明らかに前衛的という言葉の範疇を突き抜けていました。「縫うを否定したデザイン」。彼の名をパコ・ラバンヌと言います。

1934年、フランスに隣接したスペイン・バスクにパコ・ラバンヌは生まれました。1936年に勃発したスペイン内戦で、父親は共和国側の大佐として戦うも、フランコ将軍の反乱軍に捕らえられ銃殺されました。1939年、母親とフランスに亡命して、青年期に建築学を勉強していました。

当初ジバンシィ、ディオール、バレンシアガ、シャネルのための宝石デザインを行うことからファッションのキャリアは始まりました。そして、「新しい素材で武装した戦い」を起こすんだ!と、1966年自身のメゾンを設立し、金属、紙、プラスチックなどを使用した前衛的な〝着ることのできない12着のドレス〟を発表しました。