ガーデニア
原名:Gardenia
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ
発表年:2016年(1925年)
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
オリジナルは1925年のガーデニアの香り
「アルデヒドC18 プルノリド」「スチラリル酢酸」「アントラニル酸メチル」ガーデニアの香りは、花の香りではなく、幸せの香りがするので、私はシャネルの香りが好きです。ガーデニアの香りはジャスミンとチューベローズの間のドラマです。
ジャン=クロード・エレナ
2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。そして、最初の10種類の香りのひとつとして、シャネルの3代目専属調香師ジャック・ポルジュによって調香されたのが「ガーデニア」(オード・トワレ)でした。
それは1920年代に発売されたシャネルの4種類の人気フレグランスを現代風に復刻させた香りのひとつでした。オリジナル・ヴァージョンは1925年にシャネルの初代専属調香師エルネスト・ボーにより調香されました。
(ココ・シャネル自身がとても愛していた)シャネルというブランドを象徴する花であるカメリア(椿)には香りがないので、よく似た白いガーデニアの香り(ガーデニアの花からは香料を抽出できない)をイメージして生み出された香りです。
オレンジ・ブロッサムとジャスミンとチューベローズに、酢酸スチラリルのフルーティーグリーンなアクセントを加えた、クリーミーとグリーンの間で振動するように再現されたガーデニアの香りでした。
それはまさに、振りかけると言うよりも、白い花束を手渡しされるような香りでした。
その後、1983年に、ジャック・ポルジュにより再調香され、「7年に1度しか生産できない」という謳い文句で、発売され、特に2000年に発売された白キャップのオード・トワレ版は、人気を誇りました。
最もシャネルらしくない香り
2007年に「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」の中の最初のひとつとして発売され、2016年9月以降は、オード・パルファムとして発売されるようになりました。同コレクションの中で、日本でもっとも売れている香りです。
それは、シャネルらしからぬ「爽やかさ」と「軽やかさ」に満ちた香りのためかも知れません。
青葉があるからこそ、あらゆる植物は花を咲かせることが出来るのです。そんな青葉の煌きからこの香りははじまります。やがて緑の香りに祝福されながら、花々の蕾がふくらみはじめます。
そして、みずみずしいジャスミンと、爽やかなオレンジ・ブロッサムが織り成す、凛としたグリーン・フローラルの香りに、チューベローズの仄かなクリーミーさが加わることにより、爽やかで甘いガーデニアの香りへと昇華していきます。
香りの持続はほとんどせず、ベースに存在するバニラとムスクがホワイトフローラルと優しく囁きあうようにして、軽やかなドライダウンへと導いてくれます。
日本人女性が(6月から8月にかけて花開く)ガーデニアの香りに惹かれるのは、爽やかで、緑で、甘くて、優しくて、そして、儚いという〝日本人女性の美学〟を兼ね備えているからなのかもしれません。
フレグランスにとって、持続性はとても重要な要素なのですが、持続しない香りにしか生み出せない〝軽やかさ〟というものもあるということを教えてくれる素敵な香りです。
「ガーデニアにあらず」
ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドが歌っていたジャズ・ソング「These Foolish Things」(1936)をカバーするロキシー・ミュージックのブライアン・フェリー(1973)。
全盛期のゲイリー・オールドマンを髣髴とさせるその雰囲気で、2分くらい過ぎたあたりに「枕に残るガーデニアの香水の香り~」なんて歌っています。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ガーデニアにあらず」と宣言し、「シャネル・ブティックのフレグランスは、全体的に好ましい香りばかりなので、神々の嫉妬をかう恐れがあった。しかし、このガーデニアが災難を防いでくれるはずだ。なぜなら、まったくもって不愉快な香りで、騒々しい空港のトイレの花のような匂いだからだ。もしこれがクリードやラ・プレリーの部類だったなら、かろうじて褒められただろうけれど。」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ガーデニア
原名:Gardenia
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ
発表年:2016年(1925年)
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:青葉
ミドルノート:ガーデニア、ココナッツ、フルーツ・ノート
ラストノート:バニラ