究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ
トム・フォード

【トム フォード】オーキッド ソレイユ(ソニア・コンスタン)

トム・フォード
©TOM FORD
この記事は約4分で読めます。

オーキッド ソレイユ

原名:Orchid Soleil
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ソニア・コンスタン
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:30ml/11,000円、50ml/15,400円

スポンサーリンク

トム・フォードの『Evil Under the Sun(白昼の悪魔)』

©TOM FORD

©TOM FORD

トム・フォードの『シグネチャー コレクション』から2016年7月に発売された「オーキッド ソレイユ」=〝太陽のオーキッド〟は、トム・フォード初のフレグランス「ブラック オーキッド」の誕生10周年を祝い、そのサマーヴァージョンとして生を受けました。

そのまたの名を「トム・フォードの太陽」と申します。それは黒トリュフとチョコレートの代わりに、モンブランが心と肌をとろけさせる香りです。

砂漠のような広大な砂浜がある南の国で、白い花々が明るく咲き誇る官能的な『真夏のグルマン』の香りは、ソニア・コンスタンにより調香されました。

スポンサーリンク

『甘い罠』を仕掛ける側にも、仕掛けられる側にもなれる香り

©TOM FORD

灼熱の太陽の下で、温められた砂の上に横たわることは出来ない。しかし、そんな妄想を叶えるために存在する香水があります。それではまず最初に、アガサ・クリスティの推理小説『Evil Under the Sun(白昼の悪魔)』からの名探偵ポワロのセリフを引用させてください。

地中海と太陽と砂浜、とてもロマンチックです。平和そのものだ!太陽は輝いている。海は青い。でも忘れてはなりません。太陽の下にはいたるところに悪魔がひそんでいるのです。

トム・フォードの香りを身にまとうということは、癒しを求めてとか、心地よさを求めてというよりも、進んで悪徳に身を染めるような感覚に近いものがあります。その『真夏の暗黒』バージョンこそが、この「オーキッド ソレイユ」なのです。

太陽に温められたビターオレンジが、果汁を弾き飛ばし、クリーミーなチューベローズと、清らかにグリーンな百合とガーデニアに降り注ぎ、白い花々にメタリックな輝きを与える情景からこの香りははじまります。

どうやら、隙をうかがう獣として、オーキッドがこの香りの中に忍び込んだようです。

すぐにピンクペッパーとサイプレスが、太陽の光の下で小麦色の肌が赤みを帯びていくようにピリっとスパイシーかつアロマティックな香りで包み込み、チューベローズがクリーミーな甘さを爆発させるのです。

やがて、バニラとチェスナッツがホイップド・クリームにより甘い罠を仕掛けていくのです。そこに横たわる女性は、同性であってもうっとりするほど美しい褐色に日焼けした肌をお持ちなのです。そして、隣のビーチチェアは空いているようです。

(チーズ、マッシュルーム、インドールといった)フローラルの甘さの中に紛れ込んでゆく、食べたくなるようなグルマンの甘さという二重の甘さに挟まれながらチューベローズは、潜んでいたオーキッドという共犯者により、トム・フォードのホワイトドレスに身を滑り込ませるように、これまでにないほど、太陽の下で官能的な香りを解き放つのです。

アガサ・クリスティのものがたりの中に登場するヒロインになれる香り。褐色の肌と美貌を見せつける悲しき被害者になるか、つややかな肌を持つ美しくも狡猾な無慈悲な犯人になるか、あなた自身で選べるスキン・パルファムです。

どちらにしても、バカンス、リゾートが生み出す癒しではなく、〝甘い駆け引き〟〝華麗なる賭け〟を連想させるゴージャスなグルマン・フローラルの香りです。ローズゴールドのボトルカラーが、この香りの世界観を体現しています。

元フレンチ・ヴォーグの編集長カリーヌ・ロワトフェルドがスタイリングを担当したビジュアル・イメージを体現するモデルとして、ダフネ・フルーネフェルト(1994-)が起用されました。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:オーキッド ソレイユ
原名:Orchid Soleil
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ソニア・コンスタン
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:30ml/11,000円、50ml/15,400円


トップノート:ピンクペッパー、ビターオレンジ、サイプレス
ミドルノート:チューベローズ、レッド・リリー
ラストノート:バニラ、パチョリ、チェスナッツ、ホイップドクリーム、オーキッド