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ペンハリガン

【ペンハリガン】ハイグローヴ ブーケ(ジュリー・プルシェット)

ペンハリガン
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ハイグローヴ ブーケ

原名:Highgrove Bouquet
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ジュリー・プルシェット
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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英国王のフレグランス

©Penhaligon’s

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ハイグローヴガーデンのチャールズ3世 ©Marianne Majerus

2023年3月8日にペンハリガンより発売された「ハイグローヴ ブーケ」は、イギリスの現国王陛下チャールズ3世が、ライフワークとして生み出した〝王が作り出した天上の庭園〟ハイグローヴガーデンに広がる風景を描いた香りです。フローラル・ウッディ・ムスクの香りは、ジュリー・プルシェットにより3年間かけて調香されました。

この庭園で国王は1980年以降、自らの手でトピアリーを剪定したり、新しい花を植えたりしていました。1993年のインタビューで皇太子時代に「ハイグローヴガーデンは本当に私の心から湧き出てきたもので、奇妙に思われるかもしれませんが、この庭を造ることは、私にとって礼拝のようなものなのです」と語っています。

ペンハリガンが歴代生み出してきた特別な香り。それは〝ブーケ〟と名のつく香りです。1872年の「ハマンブーケ」からはじまり「ブレナム ブーケ」(1902)、「ジュビリーブーケ」(1977、エリザベス2世のシルバー・ジュビリーを祝して発売された)に次ぐ〝ブーケ〟としてこの香りは発表されました。

ペンハリガンとチャールズ国王陛下の財団・プリンス財団(The Prince’s Foundation)とのコラボレーションから誕生したこの香りの売り上げの10%はプリンス財団に寄付されます。

ちなみに国王チャールズ3世が、ずっと愛し続けている香水は、ディオールの「オー ソバージュ」であると言われています。

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ハイグローヴガーデンについて

コテージ・ガーデンは、特に初秋に幻想的な姿を見せ、遅咲きの花々が水彩画のような色彩を風景に投げかけます。

メドウ・ゲートフォールドには、120種類の植物(そのうち27種は絶滅危惧種)と30個のミツバチの巣箱があり、野草がハミングする草原により、いつも活気に満ちています。

2000年に造られた、国王自身が所有していたトルコ絨毯を模した庭「カーペット・ガーデン」。©Andrew Lawson

「キッチン・ガーデン」の金属製のアーチに沿わせて伸ばされた枝からぶら下がるリンゴ。その下にリンゴのような香りで人を惑わすブライヤーローズがおられます。©MMGI / Marianne Majerus

ソールズベリー伯爵夫人が人里離れた庭園としてデザインした「サンダイアル・ガーデン」の日時計には「私の顔の周りにある影は、日中の晴れた時間をたどるだろう」と刻まれています。夏がデルフィニウムの見ごろとなります。©Andrew Butler

国王自らトピアリーしたガーデンの一角

1796年から1798年にかけて建てられたハイグローヴのジョージアン様式の邸宅(19世紀末に火災で大きな被害を受け、内装のほとんどを失っていたが、元の状態に修復された)の前に広がる英国庭園ハイグローヴガーデンは、英国の名だたる〝自然を創造する芸術家〟が結集して生み出した、〝王の庭〟です。

その芸術家の名を挙げていくだけでもその素晴らしさがご理解頂けるはずです。

  1. サー・ロイ・ストロング(1935-)。イギリスの美術史家、博物館キュレーター、ランドスケープデザイナー。演劇、バレエ、オペラのセットデザイナーである妻(ジュリア・トレヴェリアン・オマーン)と英国でも最大の整形式庭園(formal garden)のひとつザ・ラセット・ガーデンを設計し(1974年から)、さらにジャンニ・ヴェルサーチェのために、ヴェルサーチェのコモ湖の別荘「ヴィラ・フォンタネッレ」とマイアミの邸宅「カーサ・カジュアリーナ」の庭園を設計しました。
  2. イザベル・バナーマン(1962-)&ジュリアン・バナーマン(1951-)。共に、英国式庭園のランドスケープデザイナーとして権威中の権威。
  3. ソールズベリー侯爵夫人(1922-2016)。オーガニック・ガーデニングの先駆者。1972年にハットフィールド・ハウスの庭園を修復。
  4. ローズマリー・ヴィアリー(1918-2001)。20世紀の英国を代表するランドスケープデザイナー。バーンズリーハウスガーデンが有名で、エルトン・ジョンの大邸宅ウッドサイドの庭園を設計。

ハイグローヴガーデンの歴史は、チャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)時代の1980年に購入し、1981年からはダイアナ元妃との週末用の家として使用されるようになったことからはじまります。

購入時、芝生が生い茂っていた900エーカーの敷地を、自然が生み出す美のさまざまな姿が豊かに調和する英国式庭園へと育てていったのでした。

庭園はチャールズの希望もあり、4月から10月まで一般公開されています(すべての収益は財団に寄付されています)。そして、毎年3万人が訪れています(専属の庭師が10人常駐)。

この香りは、ハイグローヴガーデンの夏の主役となるウィーピングシルバーライム(リンデン/ギンヨウボダイジュ)に光を当てた香りです。この芳香は、庭園だけでなく、邸宅の中にも広がり、晴れやかな香りで満たしてくれるのです。

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英国式庭園を愛するすべての人に試して欲しいフレグランス

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ウィーピングシルバーライム(リンデン/ギンヨウボダイジュ)

ハイグローヴガーデンでくつろぐ若き日のチャールズ。1986年7月14日。

ハイグローヴガーデンを訪れたとき、初めてこの木を見つけました。

ウィーピングシルバーライムは私にとって新しい発見で、他のどのフレグランスにも使われておらず、グリーン、フローラル、パウダリー、アニマリックの素晴らしい面を持っています。アロマティック・ノートやフローラル・ノートとうまく調和して、フレグランスの自然な特徴を高めてくれます。

ミモザはフローラル・アコードをグリーン・トーンで豊かにし、心地よいパウダリーな質感を与えてくれます。そしてシダーウッドはウッディさと持続性を加え、洗練をもたらしてくれます。

つまりフレッシュで、イエローベルベットのようなフローラルノートに、チュベローズやシダーウッド、ムスクのセンシュアルでウッディなタッチが加わった、夏の日の気分を表現した香りです。

ジュリー・プルシェット

緑のリボンのついたボトルが、この香りのピースフルな空気を象徴しています。春から夏にかけての英国式庭園のすべてのハーモニーで生み出したロマンティックな〝香りの庭園交響曲〟なのです。

英国式庭園の春の爽やかさと涼しさを運んでくれるようにゼラニウム、ラベンダー、ヒアシンスの新緑とハーブと花のハーモニーからこの香りははじまります。

すぐに太陽の輝きのように明るいミモザがゆるやかに、揺れるように香りを広がらせてゆきます。そして、(ヘッドスペース法により再現された)ウィーピングシルバーライムの甘い花蜜の香りが加わり、気分を高揚させる華やかなさで包み込んでくれるのです。さらにクリーミーなチューベローズとフルーティーなエジプト産のジャスミン・アブソリュートが、蜜蜂がハニーを生み出すように香りに艶やかな輝きを加えてくれます。

ゼラニウムとラベンダーは、フローラルに香りが支配されないように、愛らしい石鹸のような清潔感を与えてくれています。

やがて、明るいムスクが、オリスの洗練された気高きパウダリーさに誘われ、シダーウッドと陽射しが降り注ぐ大地のような香りに満たされてゆくのです。

夏の晴れた日、緑と花々が咲き乱れる夢の庭園に誘われるような香り。このフレグランスは自然の魔法を伝え、心地よさと安らぎの要素を備えている。

ジュリー・プルシェット

最後に調香師が推奨する重ね付け。「リリー オブ ザ バレー」「オレンジ ブロッサム」など、他のペンハリガンのフローラルフレグランスと重ねると、温かみのあるフローラルソーラーの香りになります。また「クァーカス」と組み合わせれば、フレッシュなフローラルコロンになり、夏らしさを引き立ててくれるとのことです。
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香水データ

香水名:ハイグローヴ ブーケ
原名:Highgrove Bouquet
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ジュリー・プルシェット
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/33,550円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ゼラニウム、ラベンダー、ヒアシンス
ミドルノート:ウィーピングシルバーライム ヘッドスペース、ミモザ、チューベローズ
ラストノート:シダーウッド、オリスフュージョン、ムスク