ホワイト ローズ
原名:White Rose
種類:オード・トワレ
ブランド:フローリス
調香師:ジョン・フローリス
発表年:1800年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/19,800円
公式ホームページ:フローリス
エリザベス女王がロイヤルウエディングで身に纏っていた香り
1730年に創業され、約290年の歴史をもつ英国王室御用達のメゾンフレグランスブランドフローリスから、1800年に発売された「ホワイト ローズ」は、ジョン・フローリスにより調香されました。現在発売されているフローリスの香りの中で最も古い香りです。
英国で、〝白薔薇=ホワイトローズ〟と言えば、15世紀に存在したイングランド王国のヨーク朝を連想させます。それはヨーク朝のシンボルであり、後に薔薇戦争と呼ばれる内乱を起こしました。
ナポレオン戦争におけるトラファルガー海戦で、英国を勝利に導いたネルソン提督が愛人エマ・ハミルトン夫人のために買いもとめた香りとして「ホワイト ローズ」は有名なのですが、何よりもこの香りを有名なものにしたのは、エリザベス女王(1926-2022)が愛したことからでした。
ゲランの「ルール ブルー」と共に女王陛下が終生愛した香りだと言われています。そして、1947年のエディンバラ公フィリップとのロイヤルウエディングにおいて、身に纏っていた香りと言われています。
クリミア戦争に従軍したナイチンゲールが守り神にしていた香り
〝クリミアの天使〟〝ランプの貴婦人〟と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)は、裕福な家庭で生まれ育った人なのですが、父親以外、家族が猛反対する中、看護婦となりました。そして当時、単なる病人の世話係と見られていた看護婦が、専門的な教育を受け、誇りのある職業となる道筋を作っていったのでした。
1853年10月16日にクリミア戦争が勃発し、1854年3月28日に英仏が参戦すると、ナイチンゲールは、11月に38名の女性看護婦たちを率いて従軍し、不衛生な兵舎病院を改善し、それまで感染症で死んでいた膨大な死者の数を劇的に減らしていったのでした。そして、彼女たちは「白衣の天使」と呼ばれ、尊敬を勝ち取るようになったのでした。
そのナイチンゲールがクリミア戦争に従軍していた2年間を含めてずっと愛用していた香りが「ホワイト ローズ」でした。彼女はこの香りを〝beautiful sweet smelling nosegays(うつくしく甘く薫る小さなブーケ)〟と呼んでいました。
ナイチンゲールが愛用していたものは、ほぼ忠実に1933年に再現されました。しかし、現在販売されているものは、2002年に現代風に再調香され、2004年に本格的に再販されたものです。
ピュアハートを運んでくれる白いバラの香り
シャネルの「No.5」=マリリン・モンローが、フローレンス・ナイチンゲールを演じたならこの香りのようになるのでしょうか...つまりは、No.5が「白衣の天使」になったような、最初から最後まで、妖艶さの欠片も存在しない、ピュアハートを運んでくれる白いバラの香りがそこにはあります。
ヴァイオレットリーフとピオニーの新緑の煌きと、酸味の効いたカーネーションの囁きからこの香りははじまります。すぐにパウダリーなアイリスと泡立つアルデハイドのロマンティックな調べに乗って、摘みたてのフレッシュな白いバラのブーケがあなたの胸に届けられます。
弾けるようでも、蒸せ返るようでも、情熱的でもなく、ちょこんとお行儀よく可憐な香りを肌の上に届けてくれるクリーミーな白いバラ数本をそこに感じ取ることができます。すぐに、甘いフローラルの香りをジャスミンとヴァイオレットが運んでくれ、ひとまとめになって、アンバーとムスクにラッピングされ、シルキーに肌の上に引き伸ばされてゆくのです。
昔から存在する英国の伝統的な薔薇石鹸で洗ったばかりの素肌と、雨上がりのローズガーデンの香りが見事に調和した、クリーンな余韻に包まれてゆきます。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ホワイト ローズ」を「フェイク・ローズ」と呼び、「けばけばしい人工的なローズ。ワックス調のレモンの香りが加味されたパウダリーでスイートな香り。車用の芳香剤やウェットティッシュに使う香料みたい」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ホワイト ローズ
原名:White Rose
種類:オード・トワレ
ブランド:フローリス
調香師:ジョン・フローリス
発表年:1800年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/19,800円
公式ホームページ:フローリス
トップノート:アルデハイド、グリーンノート、カーネーション
ミドルノート:ローズ、ヴァイオレット、アイリス、ジャスミン
ラストノート:パウダリーノート、ムスク、アンバー