ウェイクアップ ワールド
原名:Wake Up World
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/15,400円、100ml/25,300円
販売代理店:ラトリエデパルファム
良きも悪しきも無限に〝目覚めさせる〟香り
フレグランスとして、最初の一吹きは、「急げ、目を覚ませ、システムに何か問題が起きている」という筋に沿って、私たちの顔に向かって吹き付ける爆発です。
よりグローバルなメッセージとしては、主に言われたことをそのまま信じて、現実に基づかず、何でも買わせようとするグローバルなマーケティングシステムを糾弾する精神を反映させています。
ミシェル・アルメラック
2016年に創業されたパルル モア ドゥ パルファムから2022年に発売された「ウェイクアップ ワールド」は、巨匠ミシェル・アルメラックにより調香されました。
この香りの名は〝Wake Up World ∞〟。ちなみに、最後についている数字は、試作回数を示しているのですが、この香りの試作回数はなんと∞(無限)回ということになります。
今までのブランドの香りのボトルカラーは一新され、『2001年宇宙の旅』のモノリスのようなダークブルーとなっています。
人類を超越する〝新しいオリエンタルフゼア〟
この作品は、テーマが完全に変わることなく、絶え間ない進化を感じられる香水です。かなり明確な香りの変化があり、特に最初の数秒は柑橘系が香ります。スプレーした後、ムエットを嗅ぐ前に、少なくとも1分間は待つことが重要だと言えるでしょう。
ミシェル・アルメラック
大気が微細な氷晶できらきら輝いていくようにベルガモットとライム、ミント、ラベンダーが全速力で駆け抜けるよう素肌に到来するようにしてこの香りははじまります。
「身近のものを武器に」する類人猿の能力が、ヒトへの進化を象徴する「遠くからでも攻撃できる」能力へと切り替わってゆきました。その結果として、今ではこの世界は「見えない恐怖」と「超越した孤独」に支配されています。そんな世界に対して「見えない幸せ」を呼び覚まそうとする、高揚感に満ちたオープニングです。
そして暗闇の中を彷徨っていたターキッシュローズとグリーンアップルに、光が差すように、爽快なシトラスアロマティックシャワーは降り注ぐのです。まるでローズとアップルは生き生きと息を吹き返すようにロゼワインとアップルソーダーが香り豊かに広がってゆきます。
ジヒドロミルセノールとは、通常メンズ・フレグランスやグルーミング製品に使用されるのですが、女性も身に包まれたくなるフレッシュ感がそこにはあります。
やがて、バニラとトンカビーン、アンブロクサンが、新たな生命=スターチャイルドに魂を注ぎ込むように、心を動かす温かなオリエンタルフゼアの余韻で包み込んでくれるのです。以下の一文と共に。
人間にとっては、かれの最悪なものが、かれの最善のもののために必要だということだ。最悪のものはすべて人間の最善の力であり、・・・人間はより善くなると同時により悪くならなければいけない
『ツァラトゥストラはかく語りき』ニーチェ
この香りは、あきらかに知性よりも、潜在意識や感覚に訴えることを目的に生み出された香りです。失われた嗅覚を取り戻した先に残されたものは何か?「嗅覚を信じる」ための香りなのです。
最後に『2001年宇宙の旅』の原作者アーサー・C・クラークのこの言葉こそが、アルメラック一族が生み出したこの香りのすべてを示している気がします。「もし、この映画が、一度で観客に理解されたら、われわれの意図は失敗したことになる」。
もしかしたら、この香りは、人類が到達した地獄の中の光なのかもしれません。
アルメラックがパロマ・ピカソで生み出した「ミノタウロ」、ダンヒルで生み出した「デザイア フォーメン」の進化形のような香りとも言えます。
香水データ
香水名:ウェイクアップ ワールド
原名:Wake Up World
種類:オード・パルファム
ブランド:パルル モア ドゥ パルファム
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/15,400円、100ml/25,300円
販売代理店:ラトリエデパルファム
トップノート:ベルガモット、ジヒドロミルセノール
ミドルノート:グリーンアップル、ターキッシュローズ
ラストノート:ブルボンバニラ、トンカビーン、アンブロクサン