シャリマー オー レジェール
原名:Shalimar Eau Légère
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:不明
マチルド・ローランのシャリマー
1921年にゲランの三代目調香師ジャック・ゲランが生み出し、1925年に発売されたゲランを代表する傑作フレグランス「シャリマー」(パルファム)。
2003年にゲランを子会社にしたLVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)は、若者に受けるシャリマーを作るように提案しました。
以下の経緯は、ルカ・トゥリン様の著書を引用する方が的確でしょう。
このとき起用されたのは専属調香師のマチルド・ローランだ。彼女はいい仕事をした。その作品「シャリマー オー レジェール」は素晴らしかったが、惜しまれつつも短命に終わった。程なくして彼女が上司のジャン=ポール・ゲランと衝突したからだ。
翌年にジャン=ポール・ゲラン名義で発売された同じ名前の製品は、すでにトップノートの魅力が半減していた。
『世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス
レモンシャーベットのような味付けを施されたシャリマーと、バットウィングのような独特なネオ・シャリマー・ボトルにより、更には、僅か数年で姿を消したという意味において「悲劇のシャリマー」として、伝説の中の伝説の香りとして、不思議な立ち位置を占める「シャリマー オー レジェール」。
今やカルティエの専属調香師であるマチルド・ローラン様の功績は、ゲラン史においては、スターリン・毛沢東時代の失脚した指導者のように、存在しなかったかのように抹消されているのですが、彼女の存在があればこそ、ゲランは20世紀を乗り越えられたことだけは、覆しようのない事実です。
当時、ゲランの五代目調香師の座に最も近かった彼女が、埃をかぶっていたシャリマーを21世紀に再評価させるきっかけを作ったのがこの作品です。
レモンの閃光と共に蘇りしシャリマー
オリジナルにおいて、トップノートにおいて主張するベルガモットの主役の座を、レモンが見事引き継いでいます。そのひんやりと舌先で感じ取れそうな、爽快感溢れる本物のレモンが弾けるような香りから「悲劇のシャリマー」ははじまります。
すぐにベースのアンバリーなバニラにより、レモンは温かくなり、レモンケーキのような香りへと変化していきます。そして、ミドルノートにフローラルが現れると、(オリジナルのレザーの要素が排除された)シャリマー特有のスパイシーさとパウダリーさを併せ持つジャスミンとアイリスがレモンケーキからバニラと言う名のバトンを引き継いでいきます。
この香りの素晴らしさは、マチルドが、シャリマーを成熟した女性像として捉え、シャリマー オー レジェールをそんなシャリマーの未成熟な女性時代として描いて見せたところにあります。
パティ・ハンセン(1956-)と、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズとの間に生まれた二人の娘をキャンペーン・モデルに据えた広告が話題になりました(当時としてはゲランらしからぬ広告でした)。
ちなみに一年後の2004年にジャン=ポール・ゲランによりマイナー・チェンジされたこの香りは、「シャリマー・ライト」として販売されました(レモンの代わりにライムが投入され、ラストノートに、バニラに深みを与えるようにトンカビーンとベンゾインが投入されている)。
香水データ
香水名:シャリマー オー レジェール
原名:Shalimar Eau Légère
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:マチルド・ローラン
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:ベルガモット、レモン
ミドルノート:ジャスミン、オレンジ、アイリス
ラストノート:バニラ、アンバー