ネロリ ウートルノワ
原名:Neroli Outrenoir
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー、デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/35,310円、100ml/49,500円、200ml/70,290円
公式ホームページ:ゲラン
この上なく真っ黒なネロリ
爽やかなオレンジの香気を放つネロリ、ウッディで奥深いプチグレイン、そしてオレンジブロッサム・アブソリュート。これらを配合し、オレンジブロッサムが持つあらゆる特徴を表現したいと思いました。
ティエリー・ワッサー
2005年、パリ・シャンゼリゼ通り68番地のゲラン本店のリニューアルオープンを記念して発売された「ラール エ ラ マティエール(芸術と貴重なる生の素材)」コレクション。
この〝世界で最も貴重な原料を使ってゲランのパッションを表現して欲しい〟というコンセプトにより生み出されるコレクションの第十弾として、2016年に発売された「ネロリ ウートルノワ」は、ビターオレンジの花から水蒸気蒸留によって得られる希少な精油ネロリをテーマにしたウッディ・アロマティックな香りです。
この香りのネロリは、チュニジアのナベウルで蒸留したかなり希少なものです。ネロリは、1853年の「オー インペリアル」以来、ゲランにおいてブランドの精神を反映させる香料のひとつです。
「ネロリ ウートルノワ」とは、フランス語で「この上なく真っ黒なネロリ」という意味です。ダークネロリの矛盾した香りは、ティエリー・ワッサーとデルフィーヌ・ジェルクにより調香されました。
それは、ぱっと白く輝くネロリと、深く濃いティーという珍しい組み合わせを、ミルラという仲人を挟むことにより実現した香りです。
ウートル・ノワール Outrenoir(黒を超えた黒)
この香りは、ピエール・スーラージュ(1919-)が1979年に提唱した「ウートル・ノワール Outrenoir(黒を超えた黒)」の世界観を香水において達成しようとした恐ろしい試みともいえます。
それはこの画家が考えていた「どうやったら画家が、黒色で、光をもたらすことができるか?」という問いに対する、香りが示すひとつの解答なのです。
ネロリが生み出す「黒を超えた黒」の香り
驚くほど純粋なネロリは、白と黒、無垢と神秘のコントラストの中で再解釈されています。
デルフィーヌ・ジェルク
どうやらこの香りは、ブラック&ホワイト(スモークティー&ネロリ)のコントラストが生み出す〝香りのイリュージョン〟を堪能させる香りではないらしい。それはスモークティーの中に閃光のように煌くネロリの香りであり、この香りには白は一切存在しないのです。
つまりは白の存在により「黒を超えた黒」の香りなのです。フレッシュなベルガモットとプチグレンのグリーンのコントラストが素晴らしい閃光のようなトップノートからこの香りははじまります。
すぐに閃光により視覚が完全に奪い去られたかのようにスモークティーの香りが、漆黒を生むように広がってゆきます。黒の中で白く輝く無垢なるネロリが、「黒を超えた黒」の香りを生み出してゆくのです。
スモークティーの中に溶け込むネロリと、その背景に現れるミルラのスモーキーな側面が共鳴しあい、黒い香りに光をもたらしてゆきます。そして、ドライダウンに向かうに従い、存在感を高めるバニラとオークモスにより、ネロリティーは、「黒を超えた黒」に誘惑的でミステリアスな余韻を残し、一切の黒色を残さずに無色透明に消え去ってゆくのです。
間違いなく「ラール エ ラ マティエール」の中でも最高峰の香りであり、ゲランの香水の歴史においても、名を残す名香になってゆく香りでしょう。
地球上に存在する、あらゆるネロリ・フレグランスと一線を画する傑作です。
香水データ
香水名:ネロリ ウートルノワ
原名:Neroli Outrenoir
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ティエリー・ワッサー、デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2016年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/35,310円、100ml/49,500円、200ml/70,290円
公式ホームページ:ゲラン
トップノート:ベルガモット、プチグレン、グレープフルーツ、レモン、タンジェリン
ミドルノート:オレンジ・ブロッサム、ティー、煙、ネロリ
ラストノート:アンブレット(ムスクシード)、オークモス、ミルラ、ベンゾイン、バニラ