ザルディの手がけた幻の『THIS IS IT』コスチューム
コンサートのオープニングを飾る「スタート・サムシング」のコスチューム。その様相は、ゴールドライタンやガンダムのガンキャノン、60年代のパコ・ラバンヌ・テイストがぎっしりつまった素晴らしいコスチュームです。ロボットの中から、これを着たマイケル・ジャクソンが出てくる姿を想像するだけで鳥肌が立ちます。
宇宙服をモチーフにしたデザインです。そして、マイケルのこだわりである「重要なのは、ショルダーだよ。パワーショルダーにしてね」という言葉を忠実に再現したショルダーのデザイン。もう言葉が続きません・・・
全身をスワロフスキー・クリスタルが覆っています。これに同系デザインのサンダルとサングラスが用意されています。400万個近くのクリスタルが使用され、数億円の予算がかかったコスチュームでした(それでいて中は空洞で軽量化されています)。
左のコスチュームは「ヒール・ザ・ワールド」のコスチュームです。曲に合わせてグローバルな感じを出すために、世界中のビーズが取り入れられています。さらに世界中のブレスレットもスリーブ部分に組み込まれています。右肩には中国の刺繍、左肩にはインドの宝石をあしらった刺繍、左わき腹にはネイティブ・アメリカンのパッチワークをレザーで再現している。右わき腹にはアラビア語で世界を癒そうと書かれている。それでいて、ハイネックの効果により、ミリタリーなテイストを醸し出すジャケット。
右のコスチュームは「ブラック・オア・ホワイト」のコスチュームです。タフで強いイメージを持たせるために、サムライの鎧を参考にしてデザインしたとのことです。レザーにたくさんのスタッズがついています。ローファーもスタッズ付です。
ちなみに「ビリージーン」のコスチュームはLEDが各部で光る構造になっていました。ザルディが10種類のコスチュームと、マイケル・ブッシュとデニス・トンプキンス(1980年代からのマイケル・ジャクソン専属デザイナー)が6種類のコスチュームを手がけていました。そして、アンジェリーナ・ジョリーの専属スタイリストであるジェニファー・レードも参加の予定でした。
マイケル・ジャクソンよ、永遠に・・・
僕は『完璧』の存在を信じます。自分が納得するまで、絶対にあきらめることは許されないんだ。
マイケル・ジャクソン
『THIS IS IT』のリハーサル風景は、100時間以上にわたり収録されていました。しかし、リハーサルにおいて、マイケルは、完全に一曲歌い切ることはなかったと言われています。総合して繋いでも、2,3曲のバラードを歌うくらいの長さしかリハーサルでは歌っていないと言われています。それほど体調の悪いマイケルを酷使し、死へ追い詰めたとして、ツアー運営会社とマイケルの母キャサリン・ジャクソンは裁判沙汰になりました。
彼は生前、人類で最も会って話したい人は誰ですか?と聴かれ、「ミケランジェロ」です。と答えました。天に召されたマイケル・ジャクソンが、棺に入ったときに、着た衣装が、1993年のグラミー賞で身につけていた400個のパールとビーズが散りばめられたナポレオン・ジャケットです。マイケルは生前このジャケットをとても気に入っていました。
マイケルは今、ミケランジェロやチャールズ・チャップリンと、彼の大好きな芸術について話していることでしょう。『THIS IS IT』の製作の真相がどうであれ、この映画の存在が、マイケル・ジャクソンの名誉回復につながった事は、間違いありません。そして、彼は、人類にとっての完璧なファッション・アイコンの地位にも登りつめたのです。
彼の歴史を知らずして、ファッションについて語る無かれ。マイケル・ジャクソンよ、永遠に・・・