マイケル・ジャクソン略歴
- 1958年8月29日 インディアナ州ゲーリーで8人兄弟の6男として生まれる。1964年、ジャクソン5の一員としてデビューする(1975年、ジャクソンズに改名)。
- 1969年 ジャクソン5が「帰ってほしいの」で、メジャーデビュー曲、全米No.1 ヒットになる。
- 1971年 「ガット・トゥ・ビー・ゼア」でソロデビュー。
彼には、もう歌うことしか残されていないんだ!
ひとつの種類の音楽だけでできているアルバムじゃないものを作りたかったんだ。音楽をジャンル分けするのは好きじゃない。それって、子どもを見て、この子は白人で、この子は黒人で、この子は日本人だって言うようなものだよね。みんな子どもなのに。そういう話を聞くと、偏見を思い出すよ。
マイケル・ジャクソン 1979年9月
マイケル・ジャクソンにとって、音楽とは何だったんでしょうか?以下、映画『THIS IS IT』の中で、ロンドン公演のリハーサル中に、スタッフ全員の前で、マイケルがした発言です。「ファンは日常を忘れる体験を待っている。未知の領域に連れて行こう。いまだかつて見たことのなかったものを生み出そう」。そして、こう続けました。日々忍耐強く、精進と努力によって・・・。
マイケルの最終章が1995年より始まります。あの輝かしき80年代のマイケルが持っていた生命感に満ちた躍動感は、ここに完全に失われました。『2001年宇宙の旅』(1968)のスターチャイルドではありませんが、もはやマイケルは、人間ではない存在になったのです。
彼はなぜそこまで整形を繰り返すのだろうか?そして、彼はもはや引き返すことの出来ない道を歩き続けるしかないと感じたのだろうか?この頃から、多大なストレスを抱え込み、多くの薬を服用するようにもなり、極端に小食になり、ジャケットのサイズも女性ものの36となり、男性としての外見を完全に失います。しかし、何よりも恐怖を感じることは、マイケル・ジャクソンのこのルックスこそが、21世紀の最高の美の形になる可能性があるということなのです。
私たちは、今、多くの若者たちが、整形に安易に手を出す姿を知っています。今では、整形の資金を稼ぐために風俗で働く人たちも多くなっています。しかし、問題はひとつです。ただ外見を自分の理想に近づけようとしても、その理想はあなたのどこから生まれたのか?なのです。
マイケル・ジャクソンは、90年代末より急速に透明感に満ち溢れます。そして、そこには現実社会ではもう生きることが出来ない悲しきスーパースターの「神の黄昏」があります。最後の進軍が始まります。あらゆる困難の中からマイケルは何かを生み出しました。その中の一つが、これは何度も言うべきことなのですが、メスを入れ破壊した顔面から生み出されたものなのかも知れないのです。能面を見て、感じる感覚が、そこからふつふつと湧き上がってきます。もしかしたら、彼は顔面を彫刻し、何かを生み出そうとしたのではないでしょうか?