ル リオン ドゥ シャネル
原名：Le Lion de Chanel
種類：オード・パルファム
ブランド：シャネル
調香師：オリヴィエ・ポルジュ
発表年：2020年
対象性別：ユニセックス
価格：75ml／33,000円、200ml／57,200円
公式ホームページ：シャネル
獅子座の男が生み出した獅子座の女の香り
©CHANEL
私は獅子座の星の下に生まれました。だから私はライオンのように爪を使い、私を傷つけようとする人たちから身を守っています。でも、信じてください。私は爪で引っかかれるより、爪で引っかいた時のほうが苦しみを感じるのです。
ガブリエル・シャネル
2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。そして、2020年に登場した18番目の新作が「ル リオン ドゥ シャネル」です。
それは、シャネルの四代目専属調香師オリヴィエ・ポルジュにより調香された4作目の「レ ゼクスクルジフ」であり、新型コロナ・ウイルスの影響で、日本においては2021年1月8日（金）の発売となりました（まず最初に2020年春に中東市場でのみ先行販売された）。
1883年8月19日に生まれた〝獅子座の女〟ガブリエル・シャネルにとってライオンは人生の守り神でした。カンボン通り31番地にある彼女のアパルトマンには、自らを囲むように、木製やシルバー、ブロンズ、石膏のライオン像が飾られていました。
ちなみに、この香りを調香したオリヴィエ・ポルジュは1974年7月30日に生まれ、彼自身も獅子座であるため、この香りに対しては〝宿命〟のようなものを強く感じていたのでした。
ライオンが、ガブリエルを新しい人生へと導く。
サン・マルコ広場にある「ヴェネツィアの獅子」。
サン・マルコ聖堂の黄金のライオン。
ガブリエル・シャネルがライオンに惹かれるようになったきっかけは、1919年12月、最愛の人ボーイ・カペルを事故で失い、心の傷を癒すために、翌年はじめて訪れたヴェネツィアにおいてでした。
彼女は、ドゥカーレ宮殿を護るサン・マルコ広場の「有翼の獅子（翼を持ったライオン）」を見た瞬間、獅子座である自分の血肉が湧き踊り、失われていたファッションと生きることに対する情熱を再び取り戻したのでした。
かくして彼女の新しい人生の幕は切っておろされたのでした。そして、シャネルのバッグの留め金やツイードスーツのボタン、ハイジュエリーにもライオンのイメージがたくさん使用されるようになりました。
ガブリエル・シャネルがヴェネツィアでライオンと初めて対峙し、自身の獅子座の運命（＝支配するのではなく、保護する包容力を持つ存在になろうと心に決めた）に殉じることを決めた瞬間から、丁度100年の時が経った2020年に、この香りは〝獅子座の男〟によって誕生したのでした。
黄金のライオンの輝きに包まれる香り
ガブリエル・シャネルとライオンの置物。©CHANEL
©CHANEL
シャネル自身がそうであったように、尊敬を勝ち取るために咆哮する必要のない威厳のあるライオンの香りを生み出したいと思いました。
オリヴィエ・ポルジュ
この香りは、シャネルを代表するオリエンタル・フレグランスである「ココ」や「コロマンデル」のようにスパイシーウッディではなく、アンバー・アコードとバニラが主役の黄金の輝きに満ちたオリエンタル・フレグランスです。
弾けるようなブラックペッパーと共に、レモンとベルガモットの最初のひと吼えにより、「シャネルの黄金のライオン」の到来は告げられます。幾たびも咆哮を繰り返すわけではなく、ただ一度だけ吼えるその雷に打たれるような瞬間が、ドラマティックでもあり、毅然とした風格を感じさせます。
すぐにベルガモットは去り、黄金のレモンだけが残り、レザーを髣髴とさせるスモーキーなラブダナムに包み込まれていきます。すごく多面的なこのラブダナムは、バルサミックなアンバリーな輝きも伴わせながら、アーシィーなパチョリと渾然一体となり溶け込み、壮麗なエレガンスを生み出してくれます。
それは、まるで最初にひと噛みの歯あとをつけておいてから、獲物の様子をじっとうかがうライオンのようです。やがて、背景のスモーキーラブダナムに絶妙に溶け込んでいくフランキンセンスが新たなる時の到来を告げます！
（シャネル社特製の）マダガスカル産のバニラがついに眠りから目を覚ましたとき、ライオンはすでに、獲物を片付け、百獣の王の台座の上で威風堂々と佇むのです。
バニラはラブダナムと一体化し、ハニーとシナモンの側面により黄金色に甘く温かく包み込むように香り立ちます。一方、サンダルウッドとホワイトムスクはパチョリの持つ激しいグリーンの側面を滑らかなクリーミーな官能的な香り立ちへと変えてゆき、四つの足はひとつの胴体を支え、偉大なる「ル リオン ドゥ シャネル」は、あなたを〝獅子座の女〟へと変えてゆくのです。
ゲランのシャリマーを意識した香りである可能性が極めて高く、逆に言えば、シャリマーに対する獅子座の男の果敢なる挑戦状とも言える香りです。
1971年、ガブリエル・シャネルは崩御し、スイス・ローザンヌに埋葬されました。その墓標には、五頭のライオンの頭が刻まれ、彼女の亡骸を守るようにそこにいます。
そして、50年後の2021年、シャネルの黄金のライオンは蘇り、世界中の人々の肌の上にその五頭の頭を刻み込むことになるのです。
香水データ
香水名：ル リオン ドゥ シャネル
原名：Le Lion de Chanel
種類：オード・パルファム
ブランド：シャネル
調香師：オリヴィエ・ポルジュ
発表年：2020年
対象性別：ユニセックス
価格：75ml／33,000円、200ml／57,200円
公式ホームページ：シャネル
トップノート：レモン、ベルガモット
ミドルノート：ラブダナム、アンバー
ラストノート：マダガスカル・バニラ、パチョリ、サンダルウッド、ムスク