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ゲラン

【ゲラン】キャディーヌ(ジャック・ゲラン/ティエリー・ワッサー)

ゲラン
©GUERLAIN
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キャディーヌ

原名:Kadine
種類:エクストレ・ドゥ・パルファン
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲランティエリー・ワッサー
発表年:1911年、2021年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/101,200円

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2021年、全世界691個限定のゲランの『まぼろしの香り』

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1911年にゲランの三代目調香師ジャック・ゲランによって調香された「キャディーヌ」が、2021年に五代目調香師ティエリー・ワッサーの再調香により「レ ピエス デクセプション(Les Pieces d’exception)」コレクションの一つとして復刻しました。

そして、2021年10月27日から11月2日まで東京・伊勢丹新宿店で開催された「サロン ド パルファン 2021」において限定発売されました。全世界で691個限定販売でした(ちなみに2005年にもジャン=ポール・ゲランにより復刻されていた)。

日本では30ml/101,200円で販売され、ヨーロッパでは690ユーロでした。

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この香りの翌年、「ルール ブルー」が誕生した。

ヒュッレム・ハセキ・スルタンの肖像画

「キャディーヌ」とは、トルコ語またはブルガリア語で「スルタンの妻、宮殿の王女」を意味します。オスマン帝国でスルタンに愛され、愛人から正妻に昇格した「お気に入り」の女性のことを意味します。

トピカピ宮殿を訪れた時、ジャック・ゲランはキャディーヌの肖像画に出会いました。そして、彼女の美しさに魅了され、この香りを生み出すきっかけとなったのでした。1911年というアールデコの時代に登場したこの香りは、パリとオリエントをつなぐ意味もありました。

ブルガリアンローズの濃厚なエッセンスとアイリスが特徴的な、複雑な気品溢れるパウダリー・フローラルであるオリジナルの「キャディーヌ」は、弾けるベルガモットにアニスがスパイシーな煌きを与えるようにしてはじまります。

すぐにアイリスとヴァイオレットによって、メランコリーな感情を呼び覚ますベールに包まれていく中、華やかなブルガリアンローズ、ジャスミンは、パウダリースパイシーなヘリオトロープ、カーネーションと静かに競い合うように香りを放ちはじめるのです。

やがて、ゲルリナーデ未完成バージョンとも言える、温かくも官能的なバニラだけが突出し、アイリスと結びつき、パウダリックで神秘的な余韻を与えてくれるのです。

オリエントからはじまる〝ジャック・ゲランの香りの旅〟は、この香りの翌年(1912年)発売される「ルール ブルー」=パリによって一つの終着駅に到達することになるのでした。

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香水名の意味は「スルタンの妻、宮殿の王女」

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2021年に復刻されたこの香りは、弾けんばかりの妖星のようなベルガモットの煌きを、ハーバルなアニス、アルテミシア、ローズマリーが侵食していくようにしてはじまります。かなり神秘的かつクラシカルなオープニングです。

すぐにアイリスが、ノスタルジーに満ちたメランコリーなムードを紡ぎ出してゆきます。古典文学を読んでいくようなゆったりとしたパウダリーな空気感で包み込んでくれます。

やがて、ローズとジャスミンが厳かに花咲かせる中、ヴァイオレット、カッシー、ヘリオトロープが、100年前に咲いたフローラルブーケのように鮮度の存在しない花々の不思議な香りで満たしてくれます。

そして、アイリスの中に、レザリーなバニラが溶け込んでゆきます。トンカビーンが存在しないため、温かみよりも、ひんやりとしたアイリスの儚さをしっかりと感じ取ることができるドライダウンです。

ボトルデザインは、 オリジナルボトルと同じく1908年にガブリエル・ゲランにより創作されたクアドリローブボトルが復刻されています。

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香水データ

香水名:キャディーヌ
原名:Kadine
種類:エクストレ・ドゥ・パルファン
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲランティエリー・ワッサー
発表年:1911年、2021年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/101,200円


トップノート:ベルガモット、グリーンノート
ミドルノート:ジャスミン、アイリス、ローズ
ラストノート:バニラ、レザー