2作目 007 慰めの報酬(2008)
ダニエル・クレイグの六代目ジェームズ・ボンド第ニ弾は、007シリーズ初の前作『007 カジノ・ロワイヤル』の終わりから物語が始まる続編です。まさにこの作品からトム・フォードとのコラボが始まり、ジェームズ・ボンドがファッション・アイコンとして完全に復権したのでした。そして、この作品から、ダニエル・クレイグが、ブラッド・ピットと並ぶ21世紀のメンズ・ファッションのスタイル・アイコンになっていくのでした。
スーツ1.ネイビー・ピンストライプスーツ
映画のスタートは、カーチェイスから始まります。前作の最後のスーツを着ている流れで物語ははじまるのですが、実際は、前作のブリオーニではなく、トム・フォードによる2ピースのネイビーのピンストライプ・スーツを1着目として着ています。シャツは、トム・フォードのライトブルー・コットンポプリン・シャツで、トム・フォードのブルーとブラックの正方形のパターンのネクタイで合わせています。
ここにシリーズの常識を覆すボンド・スーツのシルエットが明らかになります。それは一流のファッション・デザイナーによる本格的なモード・スーツをボンドが着るということです。この作品からジェームズ・ボンドは、ファッション・モデルのランウェイのような役割も担うことになるのです。ただし、彼はただ歩くのではなく、カーチェイスを繰り広げ、銃を撃つ新時代のファッション・モデルなのです。そして、トム・フォードにボンド・スーツの作成を依頼したのは、ダニエル・クレイグ自身によってでした。
靴は、チャーチのフィリップで、腕時計は、オメガのシーマスター・プラネット・オーシャンです。