銀座|素肌の上に歌舞伎座の檜舞台が誕生し、役者が大見得を切る香り

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©株式会社キャライノベイト
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銀座

原名:Ginza
種類:オード・パルファム
ブランド:破天荒
調香師:清水 篤
発表年:2026年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/23,650円
公式ホームページ:破天荒

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歌舞伎の『暫(しばらく)』を身にまとう香り

©株式会社キャライノベイト

『江戸名所図会 廿四・渋谷 金王丸昌俊』歌川国貞、1852年。

ベルガモットとレモンの光に始まり、白粉(おしろい)の柔らかさと伽羅の静けさが重なる上質な“銀座の香り”。

公式サイトより

日本文化や日本の魅力を、香りを通じて世界へ発信するキャライノベイト(青山フラワーマーケットなどの人気フレグランスも創造しています)が、満を持して2025年4月14日に発表した国産フレグランス・ブランド『破天荒』。

日本人には「破天荒な性格」と誤用されやすいこの言葉の真の意味は「前人のなしえなかったことを初めてすること。また、そのさま。前代未聞。未曾有」です。

日本人の琴線に響く前人未到の香りを創造するために、日本の伝統文化を継承しながら、現代の価値観を未来へ受け継いでゆく〝新たな日本らしさ〟を表現する『破天荒』の〝お披露目フレグランス〟として、浮世絵を題材に『和の美学』を香りに投影した五作品が、総合ディレクター兼調香師の清水 篤氏により発表されました。

©銀座三越

2026年2月18日から3月10日まで、銀座三越で開催された破天荒ポップアップから先行販売された、限定フレグランス「銀座」は、歌川国貞の浮世絵『江戸名所図会 廿四・渋谷 金王丸昌俊』からインスピレーションを受けた香りです。

この浮世絵には、『暫』において、八代目市川團十郎が「渋谷金王丸」を演じた姿が描かれています。

初代市川團十郎が考案した「三枡模様」の入った衣裳を着た八代目市川團十郎が荒事芸を魅せる姿と、江戸時代の銀座・木挽町に立ち並ぶ芝居小屋の裏舞台に漂う檜舞台や役者の白粉の香りが感じられる香りです。

以下、カイエデモード独自の観点による香りの徹底解剖と、〝もっともっと『破天荒』の香りの魅力が見えてくる清水 篤さんの独占解説〟を掲載させて頂きます。ちなみに徹底分析は、敢えて、清水さんの香りのインタビューを行う前に、書き記したものです。優れたフレグランスには、付ける人それぞれの物語を変幻自在に生み出す魔性のパワーがあるものですが、『破天荒』のそれぞれの香りには、それが存在します(であるにしても清水さんの解説は読み応えがあります)。
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あなたの素肌を艶めかせ、見えない陰獣=色香を解き放つ香り

©株式会社キャライノベイト

スプレーを吹きかけた瞬間、素肌の上が檜舞台に変わっていくような静謐なる木の香りが広がってゆきます。と同時に、大見得を切る歌舞伎役者が、華やかなシトラスシャワーと共に登場します。弾けるようなフレッシュな感覚というよりも、甘露なまったりとしたジューシーさで素肌が磨き上げられていくようです。

すぐに素肌の檜舞台の上に、歌舞伎役者の白粉、紅を想わせるヴァイオレットリーフとヘリオトロープ、アイリスのパウダリーな甘さが立ち上るように香ってゆきます。

やがて、歌舞伎役者が退場した後の檜舞台が、素肌にまったりと溶け込んでいくような、謎めいた伽羅の香りと、艶やかな木と歌舞伎化粧とアンバーとバニラが入り混じった、心地よく肌を撫でる風のような余韻に満たされてゆきます。

江戸時代の和のエッセンスが、ハイセンスに素肌に集結していくような香り。銀座という欲望の街が持つ、大人の女と男の本能を目覚めさせるように、素肌にとけこむというよりも、素肌に吸いついていくような、独特な色香を解き放つ、至上の白粉のかおり。

着物や浴衣との相性は、耽美的かつ、破滅的で、江戸川乱歩の本に出てくる和服を着た美女のうなじから匂い立ってくるような、色香=見えない陰獣を解き放つ香りとも言えます。

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「銀座」の魅力を調香師・清水 篤さんに聞いてみました。

清水 篤さん © 株式会社キャライノベイト

Q.歌舞伎役者が颯爽としていて、まさに看板役者の登場!のようなワクワクする香水箱ですよね。インバウンドのお客様のウケもよろしかったのではないでしょうか?ちなみにインバウンドの方に最も人気のある香水は「おどろおどろ」でしょうか?

A.「銀座」は、香りの流れそのものを歌舞伎の一幕のように感じてもらいたいという意識で作っています。最初は幕が開き、看板役者が颯爽と現れる。舞台が一気に華やいで、これから何が始まるのだろうという高揚感がある。そこから物語が進むように香りも変化していき、最後には静かに幕が閉じていく。

ただ、そこで全てが終わるのではなく、「もう少し見ていたかった」という感覚を残したかったんです。舞台が終わり、役者の姿が見えなくなっても、しばらく頭の中にはその情景が残っている。香水も同じように、香りが薄れていく時間まで含めて一つの作品だと考えています。

インバウンドのお客様にも破天荒はとても興味を持っていただいていますが、実際には「おどろおどろ」よりも「銀座」の方が人気があります。歌舞伎という日本文化の入口がありながら、香りそのものにはパウダリーな華やかさがある。その両方を楽しんでいただいているのかもしれません。

Q.もしかしたら清水さんがイメージされている香りに対する捉え方と、全く違うかもしれないのですが、私にとって「銀座」はとても艶のあるスキン・パフュームという印象です。メイクアップしたハレのシーンにもすごくフィットする一方で、まったりと過ごしたい時に、シャワーを浴びた後に、身にまとってみても、うっとりするような包み込まれるような心地よさがありました。

A.その捉え方は、私が考えている「銀座」とかなり近いと思います。

銀座というと、華やかに装って出かける街という印象がありますが、香りまで強く着飾らせるものにはしたくありませんでした。歌舞伎も、舞台の上では衣裳を纏い、化粧を施して華やかな姿になりますが、その下にいるのは一人の人間です。

香りも同じで、纏うことで別の誰かになるのではなく、その人がもともと持っている艶を、少しだけ引き出すものであってほしいと思っています。だから、きちんと装った時にも馴染むし、何も飾らない素肌にも馴染む。「スキン・パフューム」と感じていただいたのは、とても嬉しいです。

パウダリーな柔らかさが肌に残り、近づいた時に初めて香りを感じる。華やかさを外へ強く主張するのではなく、肌の近くに艶を残すような距離感も、この「銀座」には合っていると思います。

Q.『江戸名所図会 廿四・渋谷 金王丸昌俊』からインスピレーションを受けた香りということから、『暫(しばらく)』の世界観も投影されているお香りだと感じたのですが、歌舞伎のどのような要素を、清水さんは香りに投影されたか、お聞かせ願えますでしょうか?

A.歌舞伎から取り入れたかったのは、特定の演目をそのまま香りで再現することよりも、役者が舞台に現れた瞬間に、その場の空気が一変する感覚です。

幕が開き、役者が現れる。華やかな衣裳や隈取、白粉、鬢付け油。視覚的な華やかさだけではなく、そこには独特の匂いや空気もあったと思います。そして役者が大見得を切る。ほんの一瞬、時間が止まったようになり、観客の視線が一人の役者へ集中する。歌舞伎には、一人の人間が化粧や衣裳、所作によって、舞台の上で別の存在へと変わっていく面白さがあります。

「銀座」でも、パウダリーな花々による白粉のような柔らかさや華やかさ、その中にある力強さを使いながら、一人の役者が舞台へ出て、その場の空気を自分のものにしていく瞬間を香りに投影しました。そして最後には幕が閉じる。

姿は見えなくなっても、役者の残像や舞台の余韻はしばらく残っている。そうした幕が開いてから、余韻を残して閉じるまでの時間も、「銀座」という香りの中に入れています。

Q.パウダリーな花々の中に、鈴蘭の香りが潜んでいるというのがとても面白いと感動しました。ちなみにこの香りの中には、歌舞伎の要素意外に、何か、銀座の要素を入れられているのでしょうか?

A.ここまでは歌舞伎を中心にお話ししてきましたが、「銀座」にはもう一つ、明治以降に西洋文化を取り入れてきた銀座の時間も入れています。その一つが、ヘリオトロープです。

夏目漱石の『三四郎』にも「ヘリオトープ」の香水が登場します。日本に早い時期に入ってきた西洋香水の一つとされ、当時の日本人にとっては、とても新しく、ハイカラな香りだったのではないかと思います。

銀座は、新しい文化や舶来品が集まってきた街でもあります。明治の頃に輸入された香水も、こうした東京の中心地で人々が出会っていたのではないか。そんな想像から、ヘリオトロープを「銀座」に取り入れました。

一方で、パウダリーな花々だけで構成すると、どうしても香りに重たさが出てきます。そこで鈴蘭を加えることで、白粉のような柔らかさの中に、清らかな軽さを入れています。古くから続く歌舞伎があり、その一方で新しい西洋文化を積極的に受け入れてきた歴史もある。

伝統を持ちながら、新しい美意識も取り込んでいく。そうした異なる時代が一つの街の中で重なっていることも、私が感じている銀座らしさなんです。

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2種の香りを重ねて、物語をひらく「聞き重ね」

日本の伝統芸道・香道では、香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」もの──。『破天荒』では、香道の文化にならい、2種の香りを重ねて、物語をひらく「聞き重ね」が提案されています。

それぞれの「聞き重ね」について総合ディレクター兼調香師の清水 篤さんに質問させて頂きました。

①『裏紅(うらべに)』銀座 1プッシュ × 魁 2プッシュ

©株式会社キャライノベイト

花魁の紅を
忍ばせた艶の香

Q.なぜ「銀座」と「魁」を重ねようと思われたのでしょうか?

A.「銀座」を作る時に意識したものの一つが、歌舞伎役者が舞台の上で別の存在へと変わっていく瞬間です。その中でも「魁」を重ねた時に浮かんだのが、女形が化粧をして役へ入っていく時間でした。鏡の前に座り、白粉を塗り、紅を差し、衣裳を纏っていく。

「魁」には月下香を中心とした華やかさや、人を惹きつける艶があります。それを銀座のパウダリーな香りと重ねることで、舞台上の完成された姿ではなく、一人の演者が少しずつ自分を消し、役へ変わっていく姿を描けるのではないかと思いました。

華やかな舞台の表側ではなく、その美しさが生まれるまでの時間。そこを聞いてみたかったんです。 

Q.『裏紅』という名前には、どのような意味が込められていますか?

A.『裏紅』という名前には、舞台からは見えない場所で差される紅、というイメージがあります。観客が目にするのは、すでに役となった美しい姿です。でも、その美しさが生まれる前には、鏡と向き合い、自分の顔を消すように白粉を重ね、最後に紅を差していく時間がある。

「裏」という言葉には、単なる裏側という意味だけではなく、表に現れる美しさを支えている見えない時間を込めています。紅を差した瞬間、一人の人間だった演者が、少しずつ役の顔になっていく。その変化を『裏紅』と名付けました。

Q.それぞれを単体で香った場合と、どのように印象が変わりますか?

A.「銀座」には、白粉を思わせるパウダリーな柔らかさと、舞台が開くような華やかさがあります。「魁」は月下香を中心に、人を惹きつける艶や存在感を持った香りです。

二つを聞き重ねると、銀座の白いパウダリーさの中から、魁の艶が少しずつ現れてくる。最初から完成された美しさではなく、香りが変化するにつれて、一人の人間が役へ変わっていくような感覚があります。一人の演者が、自分を消し、役を馨らせる。その美しさへ至る時間が馨る聞き重ねなんです。

②『花幕(はなまく)』銀座 2プッシュ × 桜吹雪 1プッシュ

©株式会社キャライノベイト

舞台に舞う桜、
春の幕開け

Q.なぜ「銀座」と「桜吹雪」を重ねようと思われたのでしょうか?

A.「銀座」と「桜吹雪」を重ねた時に浮かんだのは、幕が開いて、その人自身の花が咲く瞬間でした。歌舞伎では幕が開けば舞台が始まり、役者が観客の前に立ちます。でも、舞台に立つということは、役者だけの話ではないと思うんです。

仕事でも、ものづくりでも、誰かに思いを伝える時でも、人にはそれぞれ「ここが自分の舞台だ」という瞬間がある。「桜吹雪」は桜そのものの再現ではなく、花が咲き、やがて散っていく情景を描いた香りです。銀座の舞台性と重ねることで、人生の中にある一瞬の晴れ舞台を香りにしてみたいと思いました。

Q.『花幕』という名前には、どのような意味が込められていますか?

A.『花幕』は、幕が開いた先に、その人の花が咲くというイメージから名付けました。舞台に立つ人だけが主役なのではなく、誰にでも自分の花が咲く時間があると思っています。

ずっと準備してきた仕事が形になる時かもしれない。誰かに思いを伝える瞬間かもしれない。あるいは、本人は気づいていなくても、周りから見れば一番輝いている瞬間かもしれません。

そして桜と同じように、その時間が永遠に続かないからこそ、記憶に残る。人生には、それぞれの花が咲く舞台があります。『花幕』は、その美しい一幕が馨る聞き重ねなんです。

Q.それぞれを単体で香った場合と、どのように印象が変わりますか?

A.「銀座」には、幕が開き、舞台が始まるような華やかさがあります。「桜吹雪」には、花が咲く美しさと、その時間が過ぎていく儚さがあります。

二つを聞き重ねることで、単なる華やかさではなく、今しかない一瞬の輝きが強くなるように感じます。幕が開き、花が咲き、人の視線が集まる。でも、いつか幕は閉じ、花も散っていく。だからこそ、その瞬間を美しいと感じる。華やかさの中に少しだけ儚さを持たせることで、記憶に残る一幕を聞く香りへ変わっていきます。

③『幽艶(ゆうえん)』銀座 2プッシュ × おどろおどろ 1プッシュ

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闇に溶ける艶と
静寂の美

Q.なぜ「銀座」と「おどろおどろ」を重ねようと思われたのでしょうか?

A.歌舞伎には、華やかな演目だけではなく、幽霊や怨念、嫉妬、執着といった、人間の暗い感情を描いた作品もたくさんあります。「おどろおどろ」は怪談から生まれた香りですが、「銀座」と重ねた時に面白いと思ったのは、単純に怖い香りになるのではなく、怪異の奥にある人間の情念が見えてきたことでした。

幽霊がなぜ現れるのか。そこには、愛情や嫉妬、悲しみ、恨みなど、生きていた時の感情がある。役者はそうした感情を自分の身体に入れ、所作や声、表情によって観客へ伝えていきます。怖さそのものより、人間の強い感情が芸へ変わっていく瞬間。そこを香りで聞いてみたいと思いました。

Q.『幽艶』という名前には、どのような意味が込められていますか?

A.『幽』には、幽霊という意味だけではなく、はっきりとは見えないもの、奥深いものという感覚があります。そこに『艶』を重ねました。

歌舞伎の怪談には、ただ恐ろしいだけではなく、どこか美しいものがあります。白い顔、長い髪、静かな所作。恐ろしいのに目を逸らせない。その美しさの奥には、愛や執着、悲しみといった人間の感情が残っています。怖さと美しさが、同じ場所に存在している。その曖昧な境界を『幽艶』という二文字に込めています。

Q.それぞれを単体で香った場合と、どのように印象が変わりますか?

A.「銀座」単体では、白粉のようなパウダリーさや、舞台の華やかさを感じます。「おどろおどろ」は、最初の違和感から冷たさが生まれ、やがてグリーンレザーへと変化していく怪談の香りです。

二つを聞き重ねると、「おどろおどろ」の怖さに、銀座のパウダリーな美しさが重なります。すると怪異そのものより、その役を演じている人間の情念が前に出てくる。

悲しみも、恨みも、執着も、そのままでは苦しい感情ですが、役者の身体を通して舞台に現れた時、それは芸になる。一人の演者が情念を芸へと昇華し、その余韻が静かに心へ馨る聞き重ねです。

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香水データ

香水名:銀座
原名:Ginza
種類:オード・パルファム
ブランド:破天荒
調香師:清水 篤
発表年:2026年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/23,650円
公式ホームページ:破天荒


トップノート:香檸檬(ベルガモット)、檸檬(レモン)
ミドルノート:匂菫(ヴァイオレットリーフ)、木立瑠璃草(ヘリオトロープ)、西洋菖蒲(アイリス)、鈴蘭(ミュゲ)
ラストノート:白檀(サンダルウッド)、鉛筆柏槇(シダーウッド)、麝香(ムスク)、龍涎香(アンバー)、華陀爾拉(バニラ)