なぜ今お洒落なZ世代の男性にボンドムービーが人気があるのか?
男性にとって、スーツやタキシードが似合うかどうかは、今までにどれくらいそれを意識して着てきたか?という一点に反比例します。例えば、ブリオーニ、ゼニア、トム・フォード・クラスのベテラン販売員達が口を揃えて言う印象深い言葉。それはあるお客様が、何を着て来店したのか?やら何を選ぶのか?よりも、どのような所作でジャケットに袖を通し、どのようにそのファッション・アイテムと自分自身の距離を縮めていくのかを見ていると、その人が普段からどのクラスの衣服を着ているかが分かるらしいです。
あらゆるファッションの中で、かつてスーツは、男性の生活に密着したアイテムでした。だからこそ、実はスーツを着こなせる人なら、カジュアルなアイテムは苦もなく着こなせるのです。
スーツとは、ある程度のルールに沿って着こなさなければいけない規定競技に近いものがあります。だからこそ、ラグジュアリー・ブランドの販売員にとって、あらゆるラグジュアリー・ブランドに身を固める人よりも、上質なスーツの着こなしをしている人の方が遥かに目を惹く存在となるのです。
21世紀に入り、なぜボンドムービーを若者が求めるようになったのでしょうか?それは、夢も希望もないどん底の日本社会に対する閉塞感の裏返しでもあるのですが、それと同じくらい、ルールなきファッションが広がるカオスな現状において、ルールが存在する伝統に基づいたファッションに興味がわきはじめるという、本能に近い欲求なのかもしれません。
スニーカーでファッションを組み立てていく喜びと、レザーシューズでファッションを組み立てていく喜びは、全く違う種類の喜びです。そして、結局のところ、25歳も過ぎたなら、スニーカーだけでファッションを組み立てていくのは、平凡すぎるのです。
せっかく男性として生を受けたのなら、思う存分、そのダンディズムを楽しむためにも、スーツに袖を通し、レザーシューズを履く喜びを満喫するべきなのです。
ジェームズ・ボンドのファッション5
アクネ×ジョン・スメドレー×ビリー・リード
- トム・フォードのサングラス「マルコ」
- ジョン・スメドレーのブラックVネック(ニュージーランド産)メリノウールセーター〝ボビー〟
- ビリー・リードのネイビーブルーのピーコート、イタリアのウール100%、珍しいピークドラペル
- COSの白シャツ
- COSのブラックシルクタイ
- クロケット&ジョーンズのブラック・カーフレザーの「テットベリー」
- アクネ、グレーウールの「ウォールストリート」トラウザー
- デンツのブラックグローブ
ダニエルのもう1つのアイデアは、「青いピーコートが欲しい。ビリー・リードがとても素敵なピーコートを作っていることを知っている」と、空港で運転手に変装するシーンのためでした。そして私は10着オーダーしました。
ジャニー・ティマイム
ジェームズ・ボンドのファッション6
タキシード・スタイル
- トム・フォードのミッドナイトネイビーブルーウール・タキシード(ウール100%)、シングル、ブラックサテンシルク・ショールラペル、くるみボタン1つ、オコナー・コレクション、シングルベント
- トム・フォードの白のドレスシャツ、マザー・オブ・パール・ボタン
- トム・フォードのサテンシルクのカマーバンド
- アルバート・サーストン・ホワイト・サスペンダー
- 黒のボウタイ、バットウイング
- 白のポケットチーフ
- トム・フォードのマザー・オブ・パール・カフリンクス
- クロケット&ジョーンズ、カーフレザー、ブラック・ホールカット・シューズ「アレックス」
- オメガのシーマスター「アクア・テラ」
- トム・フォードのティアドロップ・サングラス「マルコ」、シルバーフレーム
最後のネズミだけ生かして逃す。そいつはもう仲間の肉しか食えなくなるからな。
ハビエル・バルデム・ルック
- ロンドンの若きビスポーク・テーラー、トム・スウィーニーによるクリーム色のジャケットとブラウンのジレとパンツ
- プラダの派手な柄のシルクシャツ
- ジェフリー・ウエスト、マリオット・ブローグ・クリケット・チェルシー・ブーツ
作品データ
作品名:007 スカイフォール Skyfall (2012)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/ハビエル・バルデム/ベン・ウィショー/ベレニス・マーロウ/ナオミ・ハリス