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作品データ
作品名:007 スペクター Spectre (2015)
監督:サム・メンデス
衣装:ジャニー・ティマイム
出演者:ダニエル・クレイグ/レア・セドゥ/ベン・ウィショー/モニカ・ベルッチ/クリストフ・ヴァルツ
ブロフェルドを演じるのは、クリストフ・ヴァルツ
『イングロリアス・バスターズ』(2009年)を見た人ならば、ナチス・ファッションに身を包んだ、悪魔のようなナチス親衛隊大佐を演じたクリストフ・ヴァルツ(1956-)に、誰もが魅了されたことでしょう。そして、そんな彼がブロフェルドを演じるとなると、もうそれはコユイ芝居を見せてくれるに違いないと期待したはずです。ちなみに当初ブロフェルド役は、ゲイリー・オールドマンで交渉されていました。
しかし、この作品におけるブロフェルドは、その期待を見事に裏切ってくれました。それは俳優に問題があるのではなく、その俳優の使い方がとてつもなくダメだったからです。ボンドムービーの中のブロフェルドの意味が分かってないと言うよりも、アクション映画における魅力的な悪役の演出の仕方が全く分かっていません。ブロフェルドが、極めて頭が切れない上に、『007は二度死ぬ』のドナルド・プレザンスのようなコユサも存在しないただの小悪党でした。そういえば、最近の007は悪党が魅力的じゃないと思いませんか?WWEの元人気プロレスラーのバティスタ(1969-)ももっと使い様があったはずです。
ちなみにブロフェルドが着用しているサングラスは、プラダのPRO03RSです。
スペクターとは、トム・フォード帝国だったのだ!
やはりボンドと言えば、オープニングのコレです。『ダイ・アナザー・デイ』(2002年)より実に13年ぶりに復活したガンバレル。映画自体は、ブロフェルドの描写のつまらなさや、レア・セドゥのキャラクターの平坦さ、アクション・シークエンスの幼稚さ、スペクターという絶好の題材をよくもここまでつまらなく出来たなという程、ボンドムービー好きにとっては、酷評に値する作品でした。
そんな展開面のイマイチ感を払拭してくれたのが、ジェームズ・ボンド・スーツ・スタイルなのでした。ストーリーの弱さと真面目すぎる展開(決してリアル路線ではなく)に対して、ファッション・センスの良さが、独り立ちした作品それが『スペクター』でした。そうなのです、本当のスペクターとは、トム・フォードだったのです。
ジェームズ・ボンド・スタイル9 ガンバレル・スーツ
- トム・フォードのダークブルー・シャークスキンスーツ。細身のラペル。スーパー110’s。白カーチーフ
- トム・フォードの白ポプリンシャツ、ダブル・カフス
- トム・フォードのダークネイビータイ