シプレ ルージュ
原名:Chypre Rouge
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

グリム童話の初版にしか存在しない『青ひげ』をテーマにした香り

©Serge Lutens
森の散歩、それは不気味な夢? セルジュ・ルタンスが青ひげ公の城の扉を開く。ティフォージュの森では、オークモスがすでに深紅に染まっている。この深紅のベルベットのベースの上で、今にも血が流れ出そうとしている!
「鉄格子は下ろされ、跳ね橋は上がった。ジル・ド・レ、通称青髭が城に戻った。まもなく、ティフォージュの森の苔は血に染まるだろう!元々、このシプレ調の香水の名称には原産地の名前が含まれていた。その地の住民は、シスタスの葉とオークモスを詰めた小さな『香り袋(サシェ)』を木製の梁から吊るし、家の中に香りを漂わせていたのだ」
セルジュ・ルタンス公式サイトより
まず最初に、この香りは香りではない!あなたのフレグランスに対する感性を推し量ろうとするセルジュ・ルタンスからの挑戦状なのだ。香りを理解したければグリム童話を読め!日本のお香の世界を知りたければ、奥の細道を読め!
2006年に発売された「シプレ ルージュ」=〝赤いシプレ〟は、「ブラック&ベージュ コレクション」の香りのひとつでした。クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
2010年以降は、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
「赤いシプレ」と名付けられたこの香りは、奇妙なことにグリム童話の初版にしか存在しない童話「青ひげ」をテーマにした香りです。それは「決して開けてはいけない扉を開けてしまう」女性の果てしない好奇心を体現した香りです。
調香師は、この香りを完成した後、間違いなく咆哮を上げたでしょう

©Serge Lutens


1963年のフランス映画『青髭』
松の木の葉に、赤いベリーとチェリーが混じり合ったフルーツリキュールが絡み合うような強烈な香りからはじまります。それは何か恐ろしいことが起こりそうな嵐の前触れの風に揺れる松林のように不気味で、戦慄的(スパイス!)でさえもあります。
すぐにおどろおどろしい、アニマリックな蜜蝋とソルティーなセロリがやって来ます。それはまさにグリム童話で存在することが許されなかった童話の暗黒面が滑らかに広がっていくようです。メープルシロップを連想させるイモーテルとリコリスを中心に、キャラウェイやクミンなどスパイスがふんだんに溶け込んでいます。
やがて、キャラメルのかかったピーカンナッツのような焦げたパウダリーな甘い香りが押し寄せてきます。ここからがこの香りの真骨頂です。まさに「青ひげ」の結末のような大どんでん返し!お香のように素晴らしく、限りなくグルマンに近いフルーティ・シプレが、香り全体を支配していくのです。
この香りにおいてパチョリは、チョコレートのような苦みを生み出すことはありません。どちらかというと辛口の赤ワインのようです。しかし、こういった香りの分析なぞなんら意味を成さないほどに、その人の香りに対する姿勢によって、捉え方が表裏一体する香りなのです。
この香りを調香したクリストファー・シェルドレイクは、間違いなくこの香りを完成した後、咆哮を上げたことでしょう。これは、香りの芸術であり、芸術家の魂の香りです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「シプレ ルージュ」を「イモーテル失敗作」と呼び、「それほどシプレでもなく明らかに赤いわけでもないシプレルージュは、マツの木と乾燥したハーブと、カレーのスパイスが不快なほどシャープに組み合わせられ、自然界ではこういう匂いは何かを引きつけるためというよりは撃退する役を担っているということを残念ながら思い出してしまう」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:シプレルージュ
原名:Chypre Rouge
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

トップノート:キャラウェイ、パイン・ツリー・ニードル、タイム
ミドルノート:蜂蜜、ジャスミン、蜜蝋
ラストノート:アンバー、パチョリ、ムスク、オークモス、バニラ

