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【ブルガリ】ブルガリ マン テラエ エッセンス(アルベルト・モリヤス)

ブルガリ
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ブルガリ マン テラエ エッセンス

原名:Bvlgari Man Terrae Essence
種類:オード・パルファム
ブランド:ブルガリ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2021年
対象性別:男性
価格:60ml/16,830円、100ml/23,210円

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すべてが始まったところから始まる【大地の香り】

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この香りはトスカーナの匂いを再現したものではありません。トスカーナで感じることが出来る感情を引き起こす香りです。それは、その大地に立ったときに感じるエネルギーを湧き上がらせるものです。

つまりこういうことです。ギリシャでウーゾを飲んだことがありますか?まさに天にも昇るような味わいです。しかし、ドイツで同じお酒を飲んでみると「ビールを頼めばよかった」と思うはずです。

アルベルト・モリヤス

1884年にイタリアのローマで創業されたブルガリの『ブルガリ マン シリーズ』(2010年~)第七弾として2021年9月1日に発売されたのが「ブルガリ マン テラエ エッセンス」です。「テラエ=Terrae」とは、ラテン語で「大地」の意味です。

ウッディ・ベチバーの香りは、前六作品の調香を担当したアルベルト・モリヤスにより調香されました。実りの秋を迎えたトスカーナ地方。糸杉の林、極上のワイン、トリュフ、オリーブなどを思い浮かべさせるこの地が黄金色に包まれるその時、広大な大地の真ん中に立ち、その雄大さに触れ、寄り添うように佇む男の優雅さをイメージした香りです。

ブルガリ マン」が、大人の男性のさりげない心遣いと包容力を、清潔感溢れるウッディな香りで表現したなら、「ブルガリ マン エクストレーム」はそんな男性が見せる〝ONタイム〟の横顔です。しかし、2022年2月現在、この二作品は廃盤になっています。

現在発売されている『ブルガリ マン シリーズ』は以下の4種類です。

  1. 第三弾「マン イン ブラック」大きな器と情熱を感じさせる熱い想いと確固たる信念を持つ男性から迸る情熱の【火の香り】
  2. 第四弾「マン ウッド エッセンス」〝CITIZEN OF NATURE〟をテーマにした都会で生きる男の洗練と、自然の中で見せる野性的な一面を融合した【木の香り】
  3. 第五弾「マン ウッド ネロリ」「ウッド エッセンス」の逞しさに太陽のような輝きを加え、自然との新たな結び付きを強める【ビターオレンジの木の香り】
  4. 第六弾「マン グレイシャル エッセンス」〝グレイシャル=氷河〟に覆われた山々の荒々しい強さに対し、偉業を成し遂げるべく懸命に取り組む男性のゆるぎない男らしさを体現した【エアー(空気)の香り】

そして、ここに新しく発売された「ブルガリ マン テラエ エッセンス」により、すべてが始まったところから始まる新しい旅へと誘う【大地の香り】に到達するのです。

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シトラスとベチバーとアイリスが織り成す三重奏

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すべてトスカーナ産の素材でこの香りを作り出すことが重要ではありません。もし、そうしたならこのフレグランスは、オリーブオイルやワイン、トリュフのような香りになってしまうであろう。それはひどい話です。

ベチバーはハイチ産とジャワ産。ベルガモットとカラマンシーはシチリア産、ウッドはオーストラリア産を使用しています。しかし、素晴らしいのは、世界中のさまざまな場所が一緒になって、この夢のトスカーナを作り上げることができたという事なのです。

アルベルト・モリヤス

カラマンシー=フィリピンレモンとシトロンが、太陽の下で弾けるグレープフルーツのような甘酸っぱさからはじまります。実に面白いのは、シトラスはすぐに二種類のベチバー(ジャワ産ベチバーとハイチ産ベチバー)とイリスバター(オリスコンクリート)に飲み込まれていくということです。

ジャワ産のベチバーはスモーキーな側面とパワフルなアクセントを持っています。一方、ハイチ産のベチバーはアーシィーさとヴェルヴェットのような、またはラフとソフトといったコントラストによって〝晴れた秋の森〟を連想させる匂いを生み出します。そこには少しウードのニュアンスも存在しています。

つまりこの香りのベチバーはシトラスのような側面をほとんど持っていないクリーンではないベチバーなのです。

ベチバーとクリーミーなイリスバターのハーモニーがうっとりするほど素晴らしい中、土壌のアーシィーさ、木の温かさ、太陽の晴れやかさ、森と花と大地の神秘性、それらすべてを包み込むスモーキーさを感じることができます。

やがて、アーシィーでレザーのテイストを感じさせるテラエ・アコード(大地の香り)とアロマティックな甘いスティラックスが、フレッシュでスイートなベチバーの余韻を生み出し、大地を求める男性の本能を呼び覚ましてくれるように香り立つのです。

ちなみにテラエ・アコードは、ウッドレザーとゲオノール、キャロット・エッセンスにより構成されています。そして、ドライダウンで私たちは、この香りになぜ天然のカラマンシーから抽出された精油ではなく、カラマンシー・アコードが使用されているかということの理由を知るのです。それは、最初から最後までカラマンシーの存在を大切にするためなのです。

香水を作るとき、色々な心地よい香りを組み合わせて作れば良いというものではありません。たとえばベルガモットやカラマンシーのようなフレッシュなアコードに、汚れた良い香りではないものを組み合わせることも必要なのです。

これこそが香りに緊張感を生むのです。つまり何の香りかはっきりしない時に、頭の中で思考が生まれるのです。シトラスなのかウッドなのか、はたまたムスクなのかと…

アルベルト・モリヤス

ボトルは、トラバーチンの大理石とトスカーナの大地を忠実に再現したアンバーとブラウンの温かみのある色合いです。そして、ゴールデンアワーの柔らかな光がフラコンの彫刻的なラインに形を与えています。ゴールドのシグネチャー、ブロンズカラーのロゴとキャップのバランスが〝栄光のローマ〟を想わせます。

かなり強くエルメスの「テール ドゥ エルメス」を喚起させる香りです。

キャンペーン・モデルはカナダ出身のファッション・モデル ニック・ベイトマン(1986-)が四作連続で起用されています。

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香水データ

香水名:ブルガリ マン テラエ エッセンス
原名:Bvlgari Man Terrae Essence
種類:オード・パルファム
ブランド:ブルガリ
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2021年
対象性別:男性
価格:60ml/16,830円、100ml/23,210円


トップノート:シトロン、カラマンシー
ミドルノート:ベチバー、オリス・コンクリート
ラストノート:スティラックス