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【キャシャレル】アムール アムール(ドミニク・ロピオン/ローラン・ブリュイエール)

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アムール アムール

原名:Amor Amor
種類:オード・トワレ
ブランド:キャシャレル
調香師:ドミニク・ロピオン、ローラン・ブリュイエール
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:不明

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少女たちが〝愛に目覚めたとき〟はじめて意識する香り

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香水部門がロレアルの傘下にあるキャシャレルから2003年に発売された「アムール アムール」は、キャシャレルのフレグランスを最も愛用する年齢層が、12歳から15歳のフランスとスペインの少女たちであるという市場調査に基づき作り上げた〝初恋へのイニシエーション〟としての香りです。ドミニク・ロピオンローラン・ブリュイエールにより調香されました。

ヨーロッパの少女たちが〝愛に目覚めたとき〟はじめて意識する香りは、どんな香りなのでしょうか?そんなイメージで、砂糖菓子のようなとても甘い香りのトレンドの波に乗りつつも、それだけでは終わらせない、フルーツとフローラルの間を綿菓子のようなアンバーバニラがふわふわ漂う〝揺れる想いに、ともに揺れる香り〟です。

ところで、2014年と2015年にこの香水が打ち出したPR戦略がとてもユニークでした。

それはアンバサダーを美容インフルエンサーから公募したところにあります。2014年には12,000人(うち4,000人がフランス人)が応募したのに対し、2015年には16歳から25歳までの若い女性20,000人(うち7,000人がフランス人)が応募しました。

半年かけて、アンバサダーを選んでいく過程も含めてのPR戦略でした。そしてセミファイナリスト10人が選ばれ、どのシナリオの広告にするかをオンラインで投票してもらうという斬新な試みの末、生み出されたのが下のキャンペーン・フィルムでした。

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大人でもない、子供でもないグルマンの香り

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「アムール アムール」は、ジューシーなオレンジを中心とした弾けるシトラスの爆発に、酔わせるブラック・カラントが注ぎ込まれるようにしてはじまります。とてもスピード感のあるはじまりです。

すぐにアプリコットの雫がすべてを浸してゆきます。五彩の輝きを放つ色々なシトラスの香りが、果実にまったりと深みを与えていくようです。艶々のリップのようなこの果蜜に満たされる中、ローズ、ジャスミン、スズラン、百合といった花々が、ふんわりと綿菓子のようなバニラで作られたラップでひとまとめにされてゆきます。そこには砂糖漬けされた甘さではなく、フルーツと花の甘さがあります。

砂糖菓子のような香りの裏に必ず潜んでいるパチョリの存在がこの香りにはありません。代わりに、最初から最後まで香りの芯を貫くブラック・カラントに、うっとりするほど温かいアンバーとクリーミーなトンカバニラが注ぎ込まれてゆきます。

そして清涼感に満ちたシダーウッドがフローラルとグルマンの調和が見事に取れた、愛の冒険に踏み出すロマンティックなムードを広がらせてゆくのです。大人でもない、子供でもないグルマンの香りです。

若い季節にのみ持ちうる情熱を、燃え上がらせつつ、時々、燃え尽きそうになった時には、慰めてくれるストレートに心に届いてゆく香り、それは大人になったら恥ずかしくなって聴くことがなくなる、昔の流行歌のようなものです。しかし、このようなものが何十年か経ったとき、再び、成熟した心の中に、若き日の大切な宝物として、浮上し、心を癒してくれるものなのです。

この香りの先にあるのが、ゲランの「ランスタン ド ゲラン」やシャネルの「アリュール」なのでしょう。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アムール アムール」を「フルーツサラダ」と呼び、「憂鬱なフルーティ・フローラルを、現代のボヴァリー夫人に。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:アムール アムール
原名:Amor Amor
種類:オード・トワレ
ブランド:キャシャレル
調香師:ドミニク・ロピオン、ローラン・ブリュイエール
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:ブラック・カラント、オレンジ、マンダリン・オレンジ、グレープフルーツ、カッシア、ベルガモット
ミドルノート:ローズ、アプリコット、ジャスミン、スズラン、百合
ラストノート:ムスク、トンカビーン、バニラ、アンバー、ヴァージニアシダー