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【ミゼンジール】アンブル マジーク(アルベルト・モリヤス)

その他のブランド
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アンブル マジーク

原名:Ambre Magique
種類:オード・パルファム
ブランド:ミゼンジール
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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100MLで約4万5千円する〝スペシャルなアンバーの香り〟

2013年にヴェルデーヌ通りにオープンしたジュネーヴの一号店 ©MIZENSIR.COM

娘ヴェロニクとアルベルト・モリヤス ©MIZENSIR.COM

私がこのブランドを妻と興したのは、ただただ自分の好きな香りを自由に作りたかったからです。つまり、想い出や、家族、過去の感情、あるいは過去の出来事を思い起こさせるような香りです。だから、一番好きなものは何かと聞かれても難しいのです。すべてが自分の子供のような気がするので。

香りの調香には、1年から6年かけます。それも毎日ではなく、週に1日か2日だけ作業する感覚で作り上げています。

アルベルト・モリヤス

1999年にジュネーヴで創業されたアルベルト・モリヤス自身のブランド、ミゼンジールは、当初キャンドル・コレクションからはじまりました。元々は、パトリック・フィルメニッヒにVIPの顧客のために提供するキャンドル・コレクションを作るように依頼されたことがきっかけでした。

「ミゼンジール(Mizensir)」とは、mis en cire(set in wax)とモリヤス(Morillas)のM、そして、真ん中のZenは、モリヤス一家が大切にしている禅の精神であり、Sirは英国の貴族精神=エレガンスを意味する言葉遊びです。

妻クロディーヌと娘ヴェロニクによるファミリー・ブランドであるミゼンジールに、2015年にフレグランス・コレクションが誕生したのは、ヴェロニクのアドバイスからでした(2011年以降は元弁護士でもある彼女がこのブランドの最高責任者でなる)。

2022年に発売された「アンブル マジーク」は、通常のミゼンジールのフレグランスが日本円にして約3万円に対して、約4万5千円する〝スペシャルな香り〟です。

このブランドで、ニッチな香りを作るつもりは全くありません。そうではなく卓越した製品を作りたいと思いました。最高の原料と合成香料を使い、これまでの経験を生かして、誰かのためではなく、自分のために何かを作りたかったのです。

私たちにとって重要なのは香りです。最高の品質の香水を作ることが最も重要で、この理由から、私は広告に予算を割かないことに決めました。

アルベルト・モリヤス

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アンバーが生み出す香りの魔術を知りたければ、この香りを試すべし。

©MIZENSIR.COM

私の夢は〝新しいアンバー〟を作ることでした。なぜなら私にとって、アンバーは世界の始まりの香りだからです。古代エジプト人からカトリーヌ・ド・メディシスをはじめとする王侯貴族にまで長年愛されてきました。

そんなアンバーで、スーパーモダンな香水を作りたいと思いました。ウッディで濃厚なサンダルウッドの香りとなる、フィルメニッヒ社による100%天然由来の新分子ドリームウッドが入っています。さらにアンブロックスとセタロックス®も使っています。とても明るいアンバーの要素があります。

こうして、とても晴れやかで、とてもウッディで、とてもムスキーで、そしてとても独特な香りを創り出したんです。そこには多くのミステリーがあり、それでいて着やすい、新しい世代の香りを創りたかったのです。

アルベルト・モリヤス

調香師にとって天然のアンバーグリスの旨味を生かした、いまだかつてないアンバー・フレグランスを作ることは、調香師人生における夢とも言えます。70歳を越えた頃からアルベルト・モリヤス(1950ー)は、そのような夢を片っ端から叶えていこうと、精力を傾けています。

〝魔法のアンバー〟と名付けられたこの香りは、アンバーグリスへの真のトリビュートとして、モリヤスがただひたすらその幻想的なパワーを極限まで引き出すことを目的に生み出した香りです。

フィルメニッヒ社の最高峰の合成アンバーグリス、Cachaloxを使用したこの香りは、潮風に誘われ、素肌に到来する、明るく涼やかにほろ苦いオレンジの香りからはじまります。すぐに冷たくスパイシーなカルダモンと合成アンバーグリスが、鮮やかなちからを香り全体に漲らせてゆきます。少しキャンディのようなグルマンな風味が全身を駆け抜けていきます。

そして魅惑の瞬間がはじまります。花の蜜を湛えた天然のローズが、天然のバニラとドリームウッド®と共に、素肌の上で、オレンジ色に燃える鮮やかな太陽でいっぱいになるように輝くのです。

この香りの魅力は、温かい開放感あふれる太陽の香りが、アンバーグリスとスパイシーローズとバニラ×サンダルウッドが三位一体となり、ゆっくりと回り巡る万華鏡のように、いつの間にか、官能的かつミステリアスな夕陽の香りに変化していく所にあります。

フレッシュに搾り上げられたオレンジにかぶりついた後、数時間の時が経ち、これ以上ない相性の良さで心地よく溺れていく、ウッディバニラが広がる、クリーミーなパウダリー感に抱擁されてゆきます。

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モリヤスが「バカラ ルージュ」に対抗し生み出す『究極のアンバー』

©Tahiti.intercontinental

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ボラ・ボラ島かモルディブの水上コテージの階段に、キンキンに冷えたオレンジベースのカクテルが入ったグラスを置いて、灼熱の太陽の下で、海水の中で抱擁するカップルの、華麗なる一日を感じさせる香りです。

やがて、赤いバラと白いオレンジの花で飾り付けられたベッドルームへと場所を移し、コテージの木の温かい空気に包まれ、海原に消えていく夕陽を眺めながら、バニラ風味のスイーツをお互いの口に運び、そして甘い抱擁を交わしてゆくのです。

海水とカクテルと冷房と花々の涼しい感覚と、太陽と抱擁とシーツとスイーツの温かい感覚が、心の澱みを洗い流し、ロマンティックな気持ちに向かわせてくれるような、自然な流れでキスまでエスコートしてくれるクセになる香りです。寒い心に輝く香りです。

メゾン・フランシス・クルジャンの「バカラ ルージュ 540」と同じ方向を向いている香りとも言えます。

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香水データ

香水名:アンブル マジーク
原名:Ambre Magique
種類:オード・パルファム
ブランド:ミゼンジール
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:オレンジ・ブロッサム・アブソリュート、マンダリン・エッセンス
ミドルノート:アンバーグリス(Cachalox®)、カルダモン・エッセンス、ブルガリアンローズ・エッセンス
ラストノート:ブルボンバニラ・アブソリュート、ドリームウッド®、ベンゾイン・エッセンス、ヘルヴェトライド®