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【グタール】サーブル(アニック・グタール)

アニック・グタール
©Goutal Paris
アニック・グタール
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サーブル

原名:Sables
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1985年
対象性別:男性
価格:未発売

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音大生時代の恋、別離、再会…そして、永遠の愛。

©Goutal Paris

私はトマト・リーフのような特定の植物の匂いが好きですが、街路や庭の匂い(ニガヨモギ、ヘリクリサム)も好きです。それは、私が夏に愛用していたアニック・グタールの香水「サーブル」にあるものです。太陽の香り、彼女が寛解していた頃、私はセーシェルで彼女に会った。日焼けしたショートヘアの彼女はとても美しかった。彼女は自分のしていることについてとてもよく話してくれた。

カトリーヌ・ドヌーヴ

かつて二人は音大生の頃、恋に落ちました。それはピアニストを目指す女性とチェリストを目指す男性の燃えるような恋でした。しかし、女性は、ピアニストを断念し、スウィンギング・ロンドンで熱気に満ちていたイギリスにファッション・モデルとして渡英するのでした。

時は経ち、男性はチェリストとして大成し、お互いに別の人と結婚しました。しかし、さらに数年の時が流れた後、離婚していた二人は衝撃的な再会を果たしたのでした。その女性の名をアニック・グタールと申します。そして、男性の名はアラン・ムニエと申します。

二人は再婚し、アニックが癌で死去する1999年まで添い遂げることになるのですが、アニックは、1985年に最愛の夫のための香りを作りたいと思いました。その名は「サーブル」。それは二人がよく休暇を過ごしていた〝愛を育んでくれた島〟コルシカ島の砂浜の香りでした。

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世界初のイモーテル(ヘリクリサム)の香り

©Goutal Paris

コルシカ島に咲くイモーテル。

「サーブル」とはフランス語で〝砂浜〟の意味です。コルシカ島で自生するイモーテルが主役のこの香りは、ゆっくりと愛を深めていった二人を象徴するような甘くて苦い温かみからはじまります。

太陽に温められた砂浜の上に横たわる二人に、近くで咲くイモーテルの花の香りが、潮風に乗ってやって来ます。それはまるで焦がしたメープルシロップ/燻したコーヒー/粘り気のあるカレーのようです。すぐにスパイシーなシナモンによりリキュールのような高揚感が与えられてゆきます。

塩辛い香りを運ぶコルシカの海面は、アンバーの太陽の光が反射して眩しいぐらいに、きらきら輝いています。やがて、日焼けした肌のようなクリーミーなサンダルウッドが注ぎ込まれ、ドライなイモーテルはより円やかな甘さを解き放ってゆきます。

そこに、底から立ち上るように香り立つドライなペッパーとスモーキーなブラックティーが、イモーテルの甘さと結びつき、愛する男性が抱擁する一瞬を、〝燃えるような砂〟の香りに投影させた甘い余韻で包み込んでくれます。

本格的にイモーテル、別名ヘリクリサム(ギリシャ語の太陽+黄金が語源)が使用された香りです。後にフランシス・クルジャンによるディオールの「オー ノワール」、セルジュ・ルタンスの「ジュドゥポー」、エタ リーブル ド オランジェの「ライク ディス こんなふうに」が生み出されるきっかけになった香りです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「サーブル」を「イモーテル・アンバー」と評し、「〝砂〟という名の香水。1985年にグタールがオリジナルを発表したことは、私を含めた誰もが彼女の最高傑作と評したものだ。」

「香りはイモーテルの焦がし砂糖のようなノートの代表例だ。イモーテルはどの処方でも突出してしまうので、グタールは型どおりのスイートアンバーをシンプルかつ巧みに台座として配置し、バランスを取ったのだ。」「みごとな独創性のある確かな香水。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:サーブル
原名:Sables
種類:オード・パルファム
ブランド:グタール
調香師:アニック・グタール
発表年:1985年
対象性別:男性
価格:未発売


トップノート:イモーテル、シナモン
ミドルノート:ペッパー、ブラックティー
ラストノート:アンバー、サンダルウッド