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【エスカーダ】リリー シック(フランシス・クルジャン)

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©ESCADA
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リリー シック

原名:Lily Chic
種類:オード・トワレ
ブランド:エスカーダ
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2000年(限定販売)
対象性別:女性
価格:30ml/4,500円、50ml/6,500円、100ml/8,500円

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エスカーダとは?

エスカーダのイエローコートを着たダイアナ元妃、1986年。

1998年のオスカーにて、エスカーダのドレスを着たキム・ベイシンガー。

1976年にドイツ・ミュンヘンで創業された高級ファッション・ブランド、エスカーダの歴史は、当時結婚したばかりのマルガレッタ・レイと、その夫ヴォルフガング・レイによるニットウェア・ブランドからはじまりました。

マルガレッタはスウェーデン出身のファッションモデルとして、60年代にはクリスチャン・ディオールやジャック・ファットのためにパリコレのモデルを務めていました。そして、60年代後半より、スウェーデン王室御用達テーラーのデザイナーを経て、ニットウェア・ブランド「モンティ」のデザイナーとして経験を積んでいました。

エスカーダというブランド名は、二人を運命的に引き合わせた競走馬の馬名から採ったものでした。

80年代に、大胆な色の組み合わせ、豪華な刺繍、ヒョウ柄など、女性として生きる喜びを代弁するデザインを生み出し、社会進出する女性のステイタス・ブランドとしての地位を固めてゆきました。そして、1980年代に躍進したヒューゴ・ボス、ジル・サンダーと並ぶ『西ドイツ旋風』の立役者となったのでした。

1986年にはダイアナ元妃がベルリンを公式訪問した際、エスカーダのイエローコートを着用したことから、エスカーダ=ドイツ・ファッションのイメージが不動のものとなりました。さらに、1998年には『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー助演女優賞を獲得したキム・ベイシンガーが、レッドカーペットドレスとして、エスカーダを着たことにより、その世界的な知名度は決定的なものとなりました。

©ESCADA

そんな中、1990年に発表したファースト・フレグランスが「マルガレッタ レイ」でした。それは80年代のスーパーモデル旋風を連想させる、ピーチとココナッツがホワイトフローラルをクリーミーに溶かしてゆく華やかなフロリエンタルの香りでした。

しかし、世界第4位のファッション企業に上り詰めている最中の1992年に、マルガレッタは56歳の若さで癌により死去しました。

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20世紀最後のエスカーダのサマー限定フレグランス

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エスカーダの春夏コレクションにインスパイアされ生み出されるサマー限定フレグランスが、1993年よりスタートしました(日本での取り扱いはブルーベル・ジャパン)。

1993年に発売された最初の香り「シフォン シャーベット」は、アン・フリッポにより調香されました。以下、有名調香師によるものだけリストアップしてみましょう。

  1. ジャルダン デュ ソレイユ(1996)ソフィー・ラベ
  2. ラヴィング ブーケ(1999)アニック・メナード
  3. テンダー ライト(1999)ベルトラン・ドゥシュフール
  4. セクシー グラフィティ(2002)ドミニク・ロピオン
  5. イビザ ヒッピー(2003)ミシェル・アルメラック
  6. ムーン スパークル(2007)オーレリアン・ギシャール
  7. フロール デル ソル(2020)オノリーヌ・ブラン、ナタリー・ローソン
  8. チェリー イン ジャパン(2021)オノリーヌ・ブラン

そして、このコレクションのうちのひとつとして2000年に発売されたのが「リリー シック」でした。フランシス・クルジャンにより調香されました。光り輝くイエローグリーンの蛍光色のボトルがとても印象的です。

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甘くて酸っぱい恋の予感を素肌に伝えてくれる香り

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シックなサマーを素肌に呼び覚ます、20世紀最後のエスカーダの香りは、シャリっとした洋ナシのシャーベットと青々しいリンゴシャーベットが、温かい素肌の上に引き伸ばされ、独特なフルーティーさをとろけさせていくようにしてはじまります。

鮮やかなボトルカラーが連想させる華やかなフルーツの甘さとは真逆な、甘さがない、爽やかな渋みのあるちょっと青い果実の香りに包まれていきます。

すぐに、21世紀までこの香りを愛してねとばかりに、デジタル加工されたような酸っぱくメタリックなグレープフルーツとレモンツリーが注ぎ込まれてゆきます。

そしてだんだんとしずやかにフレッシュグリーンなスズランの鐘の音に祝福され、高級石鹸のように百合のさっぱりした甘さが広がり、アンバーとムスクがすべてをひとまとめにしてゆくのです。

20世紀最後のこの香りからエスカーダの『香りの夏物語』が、世界中の若い女性を虜にしていくことになるのです。〝甘くて酸っぱい恋の予感を素肌に伝えてくれる香り〟が毎年、オンナの夏を燃え上がらせていくのです。

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香水データ

香水名:リリー シック
原名:Lily Chic
種類:オード・トワレ
ブランド:エスカーダ
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2000年(限定販売)
対象性別:女性
価格:30ml/4,500円、50ml/6,500円、100ml/8,500円


トップノート:グリーンアップル、洋ナシ
ミドルノート:スズラン、レモンツリー
ラストノート:ライム、アンバー、グレープフルーツ