アンソレンス オーデパルファン
原名:Insolence Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン
「よくって?」と確かめたくなる香り
ゲラン初のクリエイティブ・ディレクターとしてシルヴェーヌ・ ドゥラクルトがモーリス・ルーセルを調香師として迎え生み出した「アンソレンス」のオード・パルファム版として2008年に生み出されたのがこの香りです。
さぁ、「傲慢」という名の電車はどこに向かうのでしょうか?
パルファムの濃厚なベリーの香りから一転して、ラズベリーとストロベリーがブレンドされた、爽やかな大人っぽいレッド・ベリーの香りからはじまります。
以後、スパイラル構造な香り立ちがスタートします。パウダリーなアイリスと涼しげな甘さのヴァイオレットが、オレンジ・フラワーの甘さに包まれながらも、サンダルウッドとトンカビーンが香り全体にグルマンの官能を与えてくれます。
オード・パルファム・ヴァージョンは、明らかにゲランに興味のある若い女性のためのはじめての香水ではなく、エレガントでクラシカルなゲランの香りを愛してきた淑女のためのはじめてのベリーの香りといった位置づけです。
あまりこの喩えは歓迎されないでしょうが、どこか花輪くんのテーマ曲が脳内に流れ出しそうな「ぼくの人生はいつも一人旅さ、ベイビー」の女性版のような香りです。古いアニメで言えば、お蝶夫人のために作られたような香り・・・
それにしても、ゲランが宇宙人に作らせたような逆さ円盤が三つ重なったようなセルジュ・マンソーによるオリジナル・ボトルは、2017年に多くの香りと同じ形状であるビーボトルに統一されてしまいました。
ゲランのボトルに統一感など無用だと思うのは私だけでしょうか・・・
ゴジラ級のフローラル
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、この香りを「ゴジラ級のフローラル」と呼び、「「エンジェル」をまねるのに忙しくて、ほとんどの香水会社は肝心なことを忘れている。あれを偉大にしているのは、その香り(パチョリ、綿あめ、ブラックカラントなどの風変わりな取り合わせ)だけでなく、接した瞬間に強烈な驚き(香水はこんなにも常軌を逸していて、しかも魅力的でありうるのか!)があるからだ。」
「元祖「アンソレンス」は惜しいところまで行ったが、その衝撃はヴィオレットのヘアスプレーのようなトップノートが側転しながら舞台に登場したところで失速した。」
「ついにゲランは、この香水を高級品らしくすべきではない、今日の市場にふさわしい楽しくて通俗的な香水にしようと心に決めたらしい。モーリス・ルーセルの主な処方は複雑なことで知られているが、これはすごいことになっている。まるで70年代のアクション映画のポスターよろしく、右手には燃えているビルの上を飛ぶヘリコプター、真ん中には2台の車が波止場から海にジャンプして、左手には白いドレスの娘が沼から救出されて男の腕に抱えられている。背景は噴火している火山だ。」
「アコードはチューベローズ、レッドフルーツ、オレンジブロッサム、グリーンペッパリーな「ポエム」タイプのノートに当てはまる。4つの香調すべてが強打者で、組み合わせはひたすら壮大だ。」
「スプレーボタンを押すと、何か向こう見ずで取り返しのつかない、激変といった感じがする。紙切れに吹きかけてテーブルの上に置き、ランチに出かけたが、香りは追いかけて来た。手の甲のあたりにかすかに漂う香りが、蛍光ピンクの怪しさをかもし出し、まるでストレッチリムジンで田舎のカフェに乗りつけたような感覚に襲われた。部屋に帰ると、紙切れは遠くから嬉しそうに出迎えてくれた。こんなことを言えば後で後悔するに決まっているが、このアンソレンスは傑作だ。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:アンソレンス オーデパルファン
原名:Insolence Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:モーリス・ルーセル
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:75ml/19,800円
公式ホームページ:ゲラン
トップノート:レッドベリー
ミドルノート:アイリス、アフリカン・オレンジ・フラワー、ヴァイオレット
ラストノート:サンダルウッド、トンカビーン、ウッディノート