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イングリッド・バーグマン

イタリア旅行(1954)【映画の中のファッション】

イングリッド・バーグマン
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作品名:イタリア旅行 Viaggio in Italia(1954)
監督:ロベルト・ロッセリーニ
衣装:フェルナンダ・ガッティノーニ
出演者:イングリッド・バーグマン/ジョージ・サンダース

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映画にはじめてグッチのバンブーバッグが登場した瞬間





ロベルト・ロッセリーニイングリッド・バーグマンが生み出した『イタリア旅行』(1954)は、ジャン=リュック・ゴダールをはじめとする当時のフランスの若者たちに「男と女と一台の車とカメラがあれば映画ができる」という新しい映像表現に対する確信を与えました。そして、1960年代にヌーヴェルヴァーグの作家たちに聖典と崇められたのでした(さらにはマーティン・スコセッシもこの作品を愛しているという)。

そんな名作の中に登場するバッグは、21世紀に入ってもなおも愛され続けています。そのバッグの名をグッチバンブーバッグと申します。

貧困街やポンペイの古代遺跡の中で、40前のくたびれ気味のイングリッド・バーグマンが持つバンブーバッグとバンブーアンブレラ。グッチのバンブー・アイテムが世界に向けてはじめて発信された瞬間でした。まさにバーグマンの悪趣味極まりないレオパルド・ファーコートと対極を成す、洗練されたシルエットを人々の脳裏に焼き付けたのでした。

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グッチのバンブーバッグ誕生秘話


そもそもこのバッグの誕生は、第二次世界大戦で敗戦国となったイタリアにおいて、禁輸処置による革不足に対する対処法としてグッチオ・グッチと息子のアルド・グッチが考え出した苦肉の策から生み出されたものでした。

それは革の代わりに、同じく敗戦国だった日本から輸入したバンブー(竹)をバッグに使用するという画期的なアイデアをもとに、1947年にフィレンツェのグッチの工房にて誕生しました。

当初、製品番号の0633とだけ呼ばれたこのバッグは、誰がいつデザインしたかの記録は残っていないのですが、アルド・グッチがロンドンに旅行したときに持ち帰ってきた鞍の側面モチーフのバッグが原型になったと言われています。加熱処理によって竹を手で曲げて取っ手にしたバッグのオリジナル・ヴァージョンは、豚革の小さなハンドバッグで2つのインナーポケットと小さな鏡が内蔵されていました。

バンブーバッグは、そのスポーティーな外観によって、グッチのローマ本店にて、瞬く間にハリウッド・スターをはじめとするセレブ達の人気バッグになり、1953年に、アルドがニューヨーク店をオープンするグッチのアメリカ初進出の原動力になったのでした。

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マリリン・モンローとエリザベス・テイラー


ショウほど素敵な商売はない』撮影中(1954年5月29日から7月8日にかけて撮影は行われた)のマリリン・モンロー。その控え室の奥には、当時彼女が愛用していたグッチのバンブー・バッグがあります。ニューヨークに進出した記念にグッチが発売したバケツ・ヴァージョンのバンブーバッグです。


熱いトタン屋根の猫』でポール・ニューマンとリハーサルするエリザベス・テイラー。本作の撮影は1958年3月6日から5月19日にかけて行われました。もうこの頃には、派手な装飾のバンブーバッグが展開されていることが分かります。