作品名:紳士は金髪がお好き Gentlemen Prefer Blondes (1953)
監督:ハワード・ホークス
衣装:ウィリアム・トラヴィーラ
出演者:マリリン・モンロー/ジェーン・ラッセル/チャールズ・コバーン/トミー・ヌーナン
マリリンと並び立つジェーン・ラッセル
恐らく、映画史上、徹底した自己プロデュース能力に長けていた女優は、マリリン・モンロー(1926-1962)をおいて他にはいないでしょう。彼女は、その一挙手一投足を、神経質なまでに計算している人でした。だからこそ、最初は、バカを演じ、男たちに身体を与え、チャンスをモノにして、その先にあるはずだと彼女が信じていた心の安らぎを目指し、疾走したのでした。
そして、念願かない、初めての主演作を手にしたのでした。このチャンスを絶対ものにするのよと意気込むマリリンは、演技コーチのナターシャ・ライテスを伴い撮影に臨みました。過度のプレッシャーによる彼女の神経過敏は、ピークに達していました。そして、この時から、遅刻魔の伝説もはじまるのです。
そんなマリリンと共演し、対等な役柄で、その存在感を示すことが出来た女優は、ジェーン・ラッセル(1921-2011)を他において存在しませんでした。それはマリリンとは対照的なジェーンの存在感によるものもあるでしょうが、撮影中に二人が親友になったということが、マリリン・モンローの最も魅力的な部分を引き出す役割を果たしたのでした。
それは、映画の中でも、十分に感じ取れるのですが、撮影中においても、ジェーンは、自信を失い楽屋に閉じこもるマリリンを姉のようにかばいながら、カメラの前に導いていました(マリリンの遅刻は、カメラが怖くなり、楽屋から出てこれなくなることだった)。ジェーン・ラッセルがいつも隣にいてくれたからこそマリリン・モンローは、本作においてダイヤモンドのような輝きを見せることが出来たのでしょう。ジェーンこそが、「マリリン・モンローを最も輝かせた女優」だったのです。
「謙譲の美学」を持つ女優
ジェーン・ラッセル・ルック1 レッド・スパンコールドレス
- レッド・スパンコールのロングスリーブ・ロングシルクドレス、フロントスリット、腰にダイヤモンドジュエリー、深いⅤ字型のネックライン
- ダイヤモンド・ネックレス&イヤリング
- 左手首に蛇タイプのダイヤモンドバングル
- 白と赤のフェザー&スパンコールヘッドドレス
- 黒ドットのレッド・オープントゥセパレーテッドパンプス
このオープニング・ミュージカル・シーンが、本当に素晴らしいです。1950年代の対照的な二人のセックス・シンボルを見るというよりも、自分のパフォーマンスに必死なマリリンと、全体の絵作りに気を使っているジェーンという全く対照的な二人の女性像が見ることが出来ます。
ジェーン・ラッセルが演じるドロシー・ショーは、イイ男達が大好きで、そして、情にももろく、自立しているけど、遊ぶときは思いっきり遊び、親友との人付き合いも良い、なんか理想的な女性なのです。