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作品データ
作品名:オーシャンズ12 Ocean’s Twelve (2004)
監督:スティーブン・ソダーバーグ
衣装:ミレーナ・カノネロ
出演者:ジョージ・クルーニー/ブラッド・ピット/マット・デイモン/ジュリア・ロバーツ/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/アンディ・ガルシア/ドン・チードル/スコット・カーン/エリオット・グールド/カール・ライナー/ヴァンサン・カッセル
21世紀の「コート」の美学が詰まった作品。
『オーシャンズ12』の主役は、もはや、ジョージ・クルーニーではなく、ブラッド・ピットとマット・デイモンだと言えるでしょう。そして、もう一人の主役キャサリン・ゼタ=ジョーンズの存在感が、ジュリア・ロバーツを圧倒しました。
この作品のファッション的なポイントをあげるとするならば、それはこの一点につきます。それはコートです。男女合わせてこれほど魅力的なコートが現われる作品も少ないでしょう。そうです『オーシャンズ12』は「コートの映画」なのです。
特にブラッドとキャサリンが着ている数々のコートのカッコ良さは、確実にタイムレスな魅力に溢れています。そして、そこに隠し味のように、マット・デイモンの見事なコメディアンぶりが、コート・スタイルの生み出すクール一辺倒な世界観に、柔らかなドレープを生み出してくれています。
ANTOビバリーヒルズ=ハリウッド・シャツの帝王
ラスティ・ライアン・スタイル1 レザー・ジャケット
- 薄手のブラック・レザー・ジャケット
- 仕立ての良いショート丈のブルーの半袖シャツ
- リーバイスのブルージーンズ
オープニングに登場するブラッド・ピットの奇妙なウィッグ姿。そこで映し出される彼が愛用している美容品の数々。そのうちのひとつが「フィリップB.」です。ハリウッドのヘア・トリートメント・エキスパートとして名高いフィリップB.が展開しているヘアケア・ブランドです。
そして、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ扮するイザベルとの回想シーンの中で、オルネラ・ヴァノーニの「L’Appuntamento 逢いびき」が流れます(ラストにも再び流れる)。『オーシャンズ11』がダニー・オーシャンの恋の物語なら、この作品は、ラスティ・ライアンの恋の物語なのです。二人の男女が心の奥底で持っている「不意に別れたあの人にもう一度会いたいと願う想い」を歌うこの曲こそ、この作品の根底に流れるロマンティックなムードなのです。
本当にクールな男は、オールブラックに白か赤を挿す。
テリー・ベネディクト・スタイル1
- ラペルや腰ポケットにワンポイントのレザーパイピングがされているブラックジャケット
- 白のドレスシャツに白のアスコットタイ
- ブラック・レザーシューズ
- ラウンド・サングラス
- ステッキ
テリー・ベネディクト・スタイル2
- ラウンド・サングラス
- 赤色のアスコットタイ
- 黒のマオスーツ。くるみボタン
- 黒のチェスターフィールドコート
- 赤の革手袋
- ブラック・レザーシューズ
- ステッキ
アンディ・ガルシア(1956-)扮するテリー・ベネディクトは、本作においてはほとんど登場しません。しかし、その僅かな出演において、アスコットタイを中心にしたクール・エレガントなスタイルで、私たちを魅了してくれます。まさに禅の精神を西洋のスーツのデザインに反映させた成功例をそこに見ることができます。
最強のモノをひとつ挙げよ。答え=オシャレなおじいちゃん。
ソール・ブルーム・スタイル1
- ネイビー・スポーツジャケット、ノッチドラペル、金の2つボタン
- グレーのスラックス
- ホワイトカラーの白×ピンクのストライプ・シャツ
- マルチカラーのレジメンタルタイ
- ゴールドのネクタイピン
- ネイビー・サテンの水玉模様のポケットチーフ
おじいちゃんファッションの最先端に存在するのが、カール・ラガーフェルドであるならば、ここにもう一人忘れてはならないおじいちゃんのファッション・アイコンのカールがいます。その名は、カール・ライナー(1922-)です。彼が扮するソール・ブルームは、『オーシャンズ』シリーズで、人気のあるキャラクターの一人です。
おじいちゃんでありながら、バシっと決めると実に可愛らしく、頬ずりしたくなるおじいちゃんなのです。この人の存在は、世界中のおじいちゃんに光を与えています。それはこういうスタイルに身を包めば、若い娘たちの心を鷲づかみに出来るんだという絶対ルールを示してくれているからです。枯れ果てたその肉体にマルチカラーという栄養素を与えることにより、絶妙なかわいさが生まれるのです。