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【エスカーダ】イビザ ヒッピー(ミシェル・アルメラック)

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©ESCADA
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イビザ ヒッピー

原名:Ibiza Hippie
種類:オード・トワレ
ブランド:エスカーダ
調香師:ミシェル・アルメラック、リシャール・アイバニーズ
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:30ml/4,500円

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エスカーダとは?

エスカーダのイエローコートを着たダイアナ元妃、1986年。

1998年のオスカーにて、エスカーダのドレスを着たキム・ベイシンガー。

1976年にドイツ・ミュンヘンで創業された高級ファッション・ブランド、エスカーダの歴史は、当時結婚したばかりのマルガレッタ・レイと、その夫ヴォルフガング・レイによるニットウェア・ブランドからはじまりました。

マルガレッタはスウェーデン出身のファッションモデルとして、60年代にはクリスチャン・ディオールやジャック・ファットのためにパリコレのモデルを務めていました。そして、60年代後半より、スウェーデン王室御用達テーラーのデザイナーを経て、ニットウェア・ブランド「モンティ」のデザイナーとして経験を積んでいました。

エスカーダというブランド名は、二人を運命的に引き合わせた競走馬の馬名から採ったものでした。

80年代に、大胆な色の組み合わせ、豪華な刺繍、ヒョウ柄など、女性として生きる喜びを代弁するデザインを生み出し、社会進出する女性のステイタス・ブランドとしての地位を固めてゆきました。そして、1980年代に躍進したヒューゴ・ボス、ジル・サンダーと並ぶ『西ドイツ旋風』の立役者となったのでした。

1986年にはダイアナ元妃がベルリンを公式訪問した際、エスカーダのイエローコートを着用したことから、エスカーダ=ドイツ・ファッションのイメージが不動のものとなりました。さらに、1998年には『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー助演女優賞を獲得したキム・ベイシンガーが、レッドカーペットドレスとして、エスカーダを着たことにより、その世界的な知名度は決定的なものとなりました。

©ESCADA

そんな中、1990年に発表したファースト・フレグランスが「マルガレッタ レイ」でした。それは80年代のスーパーモデル旋風を連想させる、ピーチとココナッツがホワイトフローラルをクリーミーに溶かしてゆく華やかなフロリエンタルの香りでした。

しかし、世界第4位のファッション企業に上り詰めている最中の1992年に、マルガレッタは56歳の若さで癌により死去しました。

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1993年から始まったエスカーダのサマー限定フレグランス

©ESCADA

エスカーダの春夏コレクションにインスパイアされ生み出されるサマー限定フレグランスが、1993年よりスタートしました(日本での取り扱いはブルーベル・ジャパン)。

1993年に発売された最初の香り「シフォン シャーベット」は、アン・フリッポにより調香されました。以下、有名調香師によるものだけリストアップしてみましょう。

  1. ジャルダン デュ ソレイユ(1996)ソフィー・ラベ
  2. ラヴィング ブーケ(1999)アニック・メナード
  3. テンダー ライト(1999)ベルトラン・ドゥシュフール
  4. リリー シック(2000)フランシス・クルジャン
  5. セクシー グラフィティ(2002)ドミニク・ロピオン
  6. ムーン スパークル(2007)オーレリアン・ギシャール
  7. フロール デル ソル(2020)オノリーヌ・ブラン、ナタリー・ローソン
  8. チェリー イン ジャパン(2021)オノリーヌ・ブラン

そして、このコレクションのうちのひとつとして2003年に発売されたのが「イビザ ヒッピー」でした。ミシェル・アルメラックリシャール・アイバニーズにより調香されました。

この香りは、コレクション10周年を記念した香りであり、そのため、ブランドのファースト・フレグランスを調香したミシェル・アルメラックが召喚されたのでした。

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2003年、日本の女性たちが最も日焼けしていた夏。

エスカーダ2003年春夏コレクション広告 ©ESCADA

エスカーダ2003年春夏コレクション広告 ©ESCADA

紀元前654年にフェニキア人が港を建設し栄えることになったイビサ島は、スペイン本土から80km離れた地中海にある島です。1960年代の終わりまで、人々は漁業と農業で自給自足生活していたスペインで最も貧しい田舎の島でした。

そんな島に世界中からヒッピーがやって来るようになりました。温和な住民と、自然と平和を求めてやって来た人々が、奇跡的に融和して生み出されたその空気は、70年代にファッション&ナチュラル志向のライフスタイル文化として爆発するのでした。

やがて、1973年に最初のクラブがオープンし、1980年代にテクノ・ミュージックが流行する中、イビサ島は、パーティーアイランドとして発展してゆくのでした。そして、パパラッチが入り込めないこの島に、バカンスで訪れるセレブ達も増えてゆき高級リゾート地となっていくのでした。

この香りが発売された当時のイビサ島は、まだ客層が低年齢化する前の、真にラグジュアリーな大人のパーティーアイランドでした。そんなカフェ・デル・マールで美しい夕陽を眺めながらフルーツカクテルを、真夏の太陽と共に飲み干すような感覚と共にこの香りははじまります。

酔わせるようなブラックカラントがみずみずしいライチを引き立たせ、ジューシーなピーチと酸味の効いた洋ナシと混ざり合いながら、地中海の風に運ばれて流れるクラブ・ミュージックのように軽快な南国の潮風を運んでくれます。

すぐにムスクがフルーツの甘さを引き立たせる中、甘酸っぱいクランベリーが炸裂します。太陽と海がもっとも接近する瞬間のように、ウォーターヒヤシンスのマリンノートがフルーツに溶け込み、そこにグリーンを感じさせるフリージアのアクセントも加わってゆきます。

やがてクリーミーなサンダルウッドとアンバーが注ぎ込まれ、まるで太陽と海がひとつになるようにライチとクランベリーの温かな甘やかな余韻に満たされるのです。

日本においてもギャル文化真っ盛りの中、日本の女性たちが最も日焼けしていた夏、エスカーダのサマー限定フレグランスは、ギャル系の女子中高生からOLまで幅広く日本人女性の〝一年中小麦肌〟〝甘さ至上主義〟〝南の島への憧れ〟といった心の琴線に触れたのでした。

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香水データ

香水名:イビザ ヒッピー
原名:Ibiza Hippie
種類:オード・トワレ
ブランド:エスカーダ
調香師:ミシェル・アルメラック、リシャール・アイバニーズ
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:30ml/4,500円


トップノート:ブラックカラント、ライチ、カッシア、ピーチ、洋ナシ
ミドルノート:クランベリー、フリージア、ウォーターヒヤシンス
ラストノート:ムスク、サンダルウッド、アンバー