シューズは全てジョン・ロブのビスポーク
ジェームズ・ボンド・スタイル6 ブラックスーツ
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- ブラック・スリーピース・スーツ、2つボタン、ディープ・サイドベンツ、チケット・ポケット、ナチュラル・ショルダー、広めのラペル、6ボタンのベスト
- ライト・エクリュ・コットンポプリン・シャツ、ターンブル&アッサー
- ダイアゴナルリブのブラック・タイ、ターンブル&アッサー、ウィンザー・ノット
- ジョン・ロブのブラック・〝Vフロント〟ブローグ
本作において、はじめてジョン・ロブが、ショーン・コネリーのために7種類のシューズを製作しています。ちなみに、2006年に『007 カジノ・ロワイヤル』で、ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグのためにジョン・ロブはシューズを提供したのですが、このジョン・ロブは、本作のジョン・ロブとは少し違います。
1866年にジョン・ロブ(1829-95)によって、ロンドンで創設されたビスポーク・シューズメーカー『ジョン・ロブ』。1863年10月に英国皇太子エドワード7世にブーツを献上し、英国王室御用達になったことから店舗を持つことになりました。やがて、1902年に2代目が、パリに支店を開設しました。しかし、1970年代に入り、ビスポークでの経営が頭打ちとなり、1976年にパリ支店及び商標の使用をエルメスに売却しました。つまり、本作のジョン・ロブは、ロンドン本店のビスポークのものです。
やがて、エルメスは、1982年にジョン・ロブの既製靴の販売を開始しました。『007 カジノ・ロワイヤル』のジョン・ロブは、こちらのエルメス資本の既製靴のものです(日本のジョン・ロブも全てこちらのもの)。
タキシードを着てこそJBは息を吹き返す
ジェームズ・ボンド・スタイル7 アイボリー・ディナー・ジャケット
- テーラー:アンソニー・シンクレア
- アイボリー・ディナー・ジャケット、1つボタン、ピークドラペル、ハイゴージ、ディープ・サイドベンツ
- ブラック・テーパード・パンツ、サイドにサテンのストライプ入り
- ホワイト・オン・ホワイト・フロントプリーツ・シャツ、ターンブル&アッサー
- 黒のサテンシルク・ボウタイ
- ブラック・パテント・レザー・ダービー、ジョン・ロブ
ボンドムービーにはラスベガスは不向きです。結局のところ、ボンドムービーの魅力はハリウッドがやらない(出来ない)ことをする魅力であり、諜報部員と世界を周る映画なのです。
この作品のカジノシーンの致命的なポイントは、ボンド以外は比較的カジュアルな服装で、カジノを楽しんでいるその姿にあります。ファッションの恐ろしいところは、〝絶対多数理論〟が働く点にあります。つまりは、ボンドだけが正装していてカッコ悪いシーンになってしまったのです。