ローイング ラドクリフ(享楽的なラドクリフ)
原名:Roaring Radcliff
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2017年
対象性別:男性
価格:75ml/35,200円
くちづけを与えるタイミングを間違ったことのない男の香り
華やかで社交的な彼もミステリアスな一面を秘めています。夜が更ける頃、自由で挑発的なムードとともにパーティーがとある雰囲気に達する時、甘いタバコの香りを含んだ柔らかい芳香が、官能的なそよ風のように漂います。それは、享楽と退廃を招きながら、唯一の個性を思わせるカリスマ的な香り。人生の一瞬一瞬を楽しむには、ある種の犠牲と努力が必要です。そう、私たちは皆、多かれ少なかれ、人生という名の素晴らしい学び舎の教え子なのです。
公式ホームページより
2016年11月、英国のフレグランスハウス・ペンハリガンより、イギリスの上流階級の秘密を表現したコレクション<ポートレート>が発売されました。
「19世紀後半、イギリスの田園地帯に建つ大邸宅に住むジョージ卿とその家族たち、一人ひとりのキャラクターとその人間関係、ユーモア、刺激的なエッセンスを香りで表現する。」(公式ホームページより)。
その第二章として2017年4月に発売された二作品の中の一つ「ローイング ラドクリフ(享楽的なラドクリフ)」は、ダフネ・ブジェによって調香されました。
こんな男になら滅ぼされてもいいと、心狂わせる危険な甘い香り。
ジョージ卿とクララの隠し子であり父親に似ているが、貴族などの称号を持たぬゆえに、肩書きや一般的な良識のルールに縛られることなく、享楽的なまでに人生を楽しむ青年。高速で走るカーレースとさらに速い女に溺れ、彼の生きがいは酒と葉巻のパーティーとスキャンダルなど、ブレーキのない人生の中にあります。
そんな危険な魅力を持つ、セクシーで反抗的な彼の魅力に屈しない育ちの良い女性はいないでしょう。まさに〝嵐を呼ぶ男〟のアロマティック・スパイシーな香りです。ちなみに3つの香りの共通点はラム酒です。
華やかな表情。大輪の花のように輝いている。そんな育ちの良い女性に対して、くちづけを与えるタイミングを間違ったことのないこの男は、太陽に愛されたベルガモットと甘いムードのタラゴンが弾け合う中、颯爽と到来します。
すぐに、甘くスモーキーなタバコの薫りに乗って、ロングアイランド・アイスティーが全身に降り注いでゆきます。そして、だんだんと濃厚なラムがかま首をもたげ、広がってゆき、〝享楽のムード〟に満たされてゆきます。
この濃厚なラムは、父ジョージが愛するラザフォードラムの香りです。それは彼が口に出して言ってはいけない父に甘やかされている情景を思い起こさせます。
そこに、スパイシーなジンジャーブレッドが組み合わさることにより〝キスへと誘う、オーラの秘密〟が明らかになるのです。
スモーキーで甘くてスパイシーな吐息に全身が包まれたなら、さらにそこに、逞しい二の腕(香りのオーラ)がめくるめく愛の抱擁を妄想させるなら、周りにいる人々を恋の衝動へと駆り立てずにいられないでしょう。
何よりも美しいドライダウン、それは何百と広がる墓標の前に佇み、トレンチコートにレザーの手袋の手にはシガーを持つ〝うっとりするほど美しい男〟の横顔と共に、蜂蜜、蜜蝋、トンカビーン、シナモン、ラム、タバコが混じり合い、クールダウンしていくのです。こんなエレガントな男になら滅ぼされてもいいと、心を狂わせてしまう危険な甘い香りです。
最後に、この香りは、ユニセックスと言い切っても良いでしょう。対女性兵器を女性が使用すると無敵になる典型例です。女性が身に纏えば、『黒衣の花嫁』となる〝あなたの奥に潜む魔物〟を見つけてしまう可能性がありますので強くはおすすめしません。さらに、この香りに含まれている蜂蜜が、周りの男をミツバチに変えてしまうのです。
セルジュ・ルタンスの「シェルギイ」やトム・フォードの「タバコ バニラ」とよく比較される香りですが、こちらは、より若々しく、軽やかで、フェミニンなしなやかさがあります。
ボトルキャップのデザインは、それぞれの香りの主人公を動物に喩えた真鍮製のものとなっています。ラドクリフは〝ライオン〟です。この香りの特徴を捉えたボックスパッケージはクリスティヤーナ・S.ウィリアムズにより描かれたものです。
香水データ
香水名:ローイング ラドクリフ(享楽的なラドクリフ)
原名:Roaring Radcliff
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:ダフネ・ブジェ
発表年:2017年
対象性別:男性
価格:75ml/35,200円
トップノート:ベルガモット、タラゴン、ラム
ミドルノート:ジンジャー、ローズ、タバコ
ラストノート:アンバーウッド、蜜蝋、シナモン、蜂蜜、レザー、トンカビーン