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黒澤明

『乱』2|原田美枝子とワダ・エミと黒澤明

黒澤明
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毒蛇の鱗のような着物。

親の敵である一文字家を滅ぼし、本懐を遂げ死す楓の方。

それにしても楓の方のこの殿上眉の美しさ。

楓の方ルック5

黒地秋草紋様の打掛は緋色の袷仕立て。打掛の下には、同じく緋色を使いながら、白・黒・金の鱗文様(蛇や龍の鱗を表す)があしらわれた長着をまとう。

残念なことに、今ではとても『乱』のような仕事をすることはできません。・・・衣装にそれだけ予算を傾けられる大きなプロジェクトは存在しません。そして、何よりも職人さんがいなくなりました。すぐれた職人さんが高齢化し、ある方は他界され、技術は伝承されませんでした。日本人は着物を着なくなり、市場は縮小していくばかり。世界に誇る技術が時代の流れの中で失われていくのはとても残念です。すぐれた職人技とはどういうものか、ぜひ若い人たちには『乱』を観て感じ取ってほしいものです。

ワダ・エミ

原田美枝子様は35歳のとき黒沢監督に、「来年<海を見ていた>をやりますから空けておいてください。妊娠しないでくださいね。原田君にやってもらいたい役があるから」と忘年会で言われました。美枝子様は当時すでに妊娠していたのでそれを伝えると、「じゃあ待ちますよ。少し遅らせばいいことですから」と黒澤監督は答えました。その日は美枝子様にとっての「人生最良の日」だったと回想しておられます。

今となっては、黒澤映画の素晴らしい一面は、日本文化の陳列台であるということです。それはクローズアップを多用しないロングショットと長まわしによって、日本文化の真髄がそこにあるからなのです。その一つは、自然描写の繊細さであり、そこには日本の四季を映し出す色彩感覚の豊かさがあります。この作品の主役の一人は間違いなく日本の風土です。そして、そこに衣装の豊かな色彩感覚がかけ合わさるのです。

私たちはこの作品から、ファッションの分野においても大切なことを再確認させて頂けます。それは自然から教えられる色彩感覚です。そういった感覚を養う意味も含めてこの作品は、ファッションという分野(アパレルも含む)にかかわる人間にとって定期的に見るべき〝目の肥やし〟的な作品なのです。

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ランを着る!ハイダー・アッカーマン

2011年ハイダー・アッカーマンのAWコレクションは、本作よりインスピレーションを受けました。アッカーマンは、現在、2016年よりベルルッティのクリエイティブ・ディレクターに就任しております。

モデル:オルガ・シェレール(1987-)

モデル:バーシアS

モデル:カシア・ストラス(1987-)

モデル:キルシ(1993-)

モデル:アラナ・ジマー(1987-)

モデル:デボラ・ミュラー(1991-)

モデル:マルティナ・バドナ(1989-)

そして、ハイダー・アッカーマン。