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フィル・ダニエルズ1 『さらば青春の光』1(3ページ)

その他の男優たち
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ジミー・ザ・スターダスト

イタリアン・スタイルのスリム・シルエットのスーツに、ニットタイ。

主演のジミーを演じるのはフィル・ダニエルズ(1958-)。

ショート・ポインテッド・カラーのシャツ。

ランブレッタLI-3がジミーの愛車です。

モッズ・スタイル1 ジミー・クーパー
  • カーキーのモッズコート
  • ゲレーと黒の太いストライプジャケット、ナローラペル、3つボタン、スクエア・ショルダー、サイド・ベンツ
  • あずき色のトラウザー、丈は短め、ベルトレス、シングル
  • グレーシャツ、カッタウェイ
  • 赤の細いニットタイ→のちにブラック×レッドライン・ニットタイ

当時のイギリスは、1960年には徴兵制度(女性も)が廃止されたこともあって、少年少女は、バイトに励めるようになりました。こうして彼らは、自分自身のために自由なお金を持つことになり、ナイトクラブ、ファッション、音楽、ドラッグにお金を注ぎ込むようになりました。

本作の主人公ジミーもそんなモッズ少年の一人です。広告代理店のメールボーイとして日中は働きながら、仕事が終わると、ナイトクラブやコーヒー・バーに行き、真夜中から朝方に家に帰る毎日を過ごしていました。そんなジミーの交通手段が、コテコテに飾り立てたスクーター・ランブレッタLI-3です。何よりもそのミラーの多さに驚かされます。

これこそがモッズが愛用したスクーターの仕様なのです。彼らは、イタリア製のランブレッタかヴェスパを愛用しました。それは彼らが、車に乗るには若すぎ、お金もなかったからです。1962年以後、モッズが労働者階級に浸透し〝ストリート・モッズ〟になり、スクーターは、モッズのシンボルとなり、暴走族化していくにつれ、カスタマイズも激しくなりました。

羽のようにミラーを立て、沢山のフォグランプをスクーターのクラッシュバーに取り付けるようになり、ジャガーやロールスロイスのマスコットを付け、キャンディー・フレーク塗装を施し、豹柄のシートカバーに長いポールを立てて、先端にはフォックステールをぶらぶらさせる。そんな仕様のモッド・スクーターが英国中を席巻しました。

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スエードのジャケットもモッズなのか?

左はジミーの親友デイヴを演じるマーク・ウィンゲット(1961-)。

モッズ・スタイル2 デイヴ
  • 黒のトリルビー・ハット
  • グレー×白のストライプシャツ、カッタウェイ
  • スエード・キャメル・ジャケット、ノッチドラペル
  • 赤のナロータイ、金の柄入り

このジャケットはモッズらしくないのだが、凄く格好良いです。

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モッズ・ジーンズ=リーバイス501

当初ジミー役にはセックス・ピストルズのジョニー・ロットンが挙がっていた。オーディションに合格するも、その素行の悪さで、保険会社からの許可が下りなかった。

左は、後に出世を果たすレイ・ウィンストン(1957-)。ジミーの旧友でロッカーズになってしまったケヴィンを好演。

左はザ・フーのピート・タウンゼント(1945-)。

モッズ・スタイル3 ジミー・クーパー
  • ワインレッド・ジャケット、ナローラペル、3つボタン、スクエア・ショルダー、サイド・ベンツ
  • スカイブルーポロシャツ
  • ブルージーンズ、リーバイス501
  • クラークスのブラウンのデザートブーツ

1950年代から60年代前半にかけて、細身のシルエットのポロシャツは珍しいものでした。だから細身のフレッド・ペリーが、モッズに重宝されたのでした。三つボタンで半袖のポロシャツ。スーツに合わせる時は、ノーネクタイでトップボタンまで閉めて着用するのがよしとされました。

そして、ポロシャツに合わせるパンツとして、リーバイスの501がモッズの定番アイテムとなりました。本作でもジミーがやっていたように、購入後、(着用して風呂に入るなりして)洗い、5センチくらい縮ませてから身体にフィットさせ、履くのがポイントです。他にも1961年に発売されたホワイトリーバイスや、1959年に発売されたリー・ウエスターナーをあわせたりもしていました(60年代のヨーロッパにおける空前のジーンズ・ブームにより、リーバイスは年間で1億本のジーンズを売上げた。)。

そして、定番のモッズシューズはクラークスのデザートブーツでした。モッズは必ず靴もオーダーメイドしていました。チャッカー・ブーツ型のショート・ブーツを好み、素材はスエードやベロアの一枚革で作られ、クレープ・ソールが特徴。履き始めから柔らかいものが好まれた。シンプルなデザインでスーツにもリーバイスにも合い、アメリカ製のハッシュ・パピーも好まれました。


レンタル風呂で、ジミーがキンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」(1964)を歌い、ロッカーズの友人ケヴィンは、ジーン・ヴィンセントの「ビー・バップ・ア・ルーラ」(1956)を歌い合い、お互いを知らずに喧嘩に発展しかけるシーンが、モッズとロッカーズの違いを明確にしています。