二人がもっとも生き生きとするコメディの瞬間
ヴィットリア・スタイル3
- 黒地に花びら柄のボートネック、フレンチスリーブ・カットソーとスカート
- かぎ網の大判のニットストール
- 左手首に多くのバングル
- ストラップサンダル、7cmくらい
この作品のモニカ・ヴィッティのカッコ良さは、偏に、アラン・ドロンを手玉に取っている感覚から生まれるものです。
それにしてもこの二人のコンビは、不思議な瑞々しさに包まれています。それはどこか整備された高度成長期の公園のようです。
「彼らは幸福を追求せず、自然のままに生きている」
私はこの作品に登場する一人の女性の眼差しに、何よりも強く惹きつけられました。その人の名はミレッラ・リッチャルディ(1931-)。ケニア生まれの若妻マルタを演じた彼女は、本当にケニアで生まれ、ケニアで生活する人々を写真に収めたフォトグラファーでした。この作品のケニアの写真は、実際に彼女自身が撮影したものでした。そして、1971年に発売した「ヴァニッシング・アフリカ」は世界的なベストセラーとなるのでした。
マルタに怒られるヴィットリア
ヴィットリア・スタイル4
- ケニアの民族衣装
- ネックリング
- バスタオルを巻いてボディコン風に
- 腕輪
- リングイヤリング
ケニアの話を聞き、倦怠する心を埋めるようにケニア人の仮装をして踊り狂うヴィットリア。それはただ安っぽい想像から生まれた熱狂だった。この時の、マルタとヴィットリアの対比が実に面白く、ある意味、真の意味でのクールガールはマルタだと私達に気づかせるのでした。色々なものを実際に自分の目で見て、知識を身につけているその姿に対して、ヴィットリアはただ全てに、「テーブルもクロスも本も男と同じ、すぐに飽きが来るのよ」の台詞が示すように、受動的だったからこそ倦怠感に包まれていたのでした。
しかし、モニカ・ヴィッティのクール・ビューティが、ちょっと笑顔になるだけでも、男性の心を突き動かすのも、クールガールの美学なのです。