ディートリッヒの〝ドレスの基本ルール〟
上海リリー・ルック2 ホワイト・フェザー&ブラックガウン
- 黒のキャップに鶏冠のようなホワイト・フェザーとヴェール
- ブラックガウン、七分丈、手首の部分は網目になっており、スパンコール(少しメーテル風)
- 黒手袋、ショートレンジ
基本のルールはこうです。つまり、最新の流行を追わないこと━やがてそれが、おかしく見えるようになるでしょう。グリーンや赤など、派手な色のドレスは買わないこと。ワードローブは狭いのだから、何度でも着られるものだけにしぼりたいものです。そこで、おすすめしたいのは黒、ネイヴィーブルー、グレイ。セパレーツはよしましょう。一着分の値段で五着買える、なんていう店員の言葉は信用しないこと。見映えがよくても、生地が安いものなら手を出さない。高いものはちょっと・・・なんていわないで、それならその分お金をためればいい。せいぜいグレイの(ネイヴィー・ブルーは光ります)スーツのいいものを一着と黒のドレス二着、黒のウールのスカート一枚、黒とグレイのセーターを一枚ずつもっていれば、夏まで間に合う。夏にはさっぱりとしたコットン・ドレスを着ればいいのですから。助言をもうひとつ。いつもいつも洗濯屋に出さないように。汚れただけをスポット・クリーニングし、自分でアイロンしなさい。そのほうが長もちします。そして、良品のスーツを買うための貯金中のデートには、とりあえず黒いセーターとスカートで、胸を適度に目立たせて装いの優雅さを損なわない限り、それでじゅうぶん。
マレーネ・ディートリッヒ
ファーが生み出すアンバランスなバランス
上海リリー・ルック3 ファーコート
- 右手首にだけファーがある面白いアシンメトリーなデザイン、ロシアのカスピ海北岸の子羊の巻き毛のコート
- 英国軍の軍帽
- コットン・ベルベットの黒のロングドレス
マレーネ・ディートリッヒは、1930年代からさまざまな種類が販売され大流行したコールドクリームというものをけっして使用しなかった。そして、太りやすい彼女は、ダイエットをする時は、カロリーを無視して、コーヒーと紅茶をひたすら飲み、エプソム塩(下剤用の塩)のたっぷり入った湯を何杯も飲み、しきりに煙草を吸うだけだった。