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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ジュール(ジャン・マーテル)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
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ジュール

原名:Jules
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ジャン・マーテル
発表年:1980年
対象性別:男性
価格:不明

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『裏切り者のバラード』を素肌の上で歌ってくれます。

ルネ・グリュオー©DIORBEAUTY

ルネ・グリュオー©DIORBEAUTY

ディオールの歴代のメンズ・フレグランスの中で最も知られていないフレグランスが、1980年に発売された「ジュール」です。〝ジュール〟とは、フランス語で〝情夫、ひも、色男、ポン引き〟という意味です。

女たらしで、ゲームやギャンブル好きで、自由奔放で、嘘つきでありながらとんでもなく魅力的な男性をイメージした香りです。アロマティック・フゼアの香りは、「パコ ラバンヌ プール オム」を調香したジャン・マーテルによって調香されました。

『裏切り者のバラード』を素肌の上で歌ってくれる香り、リスクと冒険を楽しみむ冒険野郎の香り、それが「ジュール」です。ショーン・コネリー時代のジェームズ・ボンドが、美女を舐め回すように見つめる眼差しの香り。どこか腰をくねくねするプロレスラーの雰囲気もあります(全盛期のトリプルHのような)。

獣が全身を駆け抜けていくアニマリック・フゼアでありながらとてつもなく優雅でエレガントなこの香りは、ニッチ・フレグランス全盛の今こそ求められる香りでしょう。

ただし、あまりにも露骨なエロスを感じさせる香りでもあり、草食系の男子や中性的な男性が身に纏うと、アンバランスな居心地の悪さを感じさせることでしょう。

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体臭ではなく、汚臭で満たされた柑橘とスパイスとハーブと花と木の香り。

ルネ・グリュオー©DIORBEAUTY

©DIORBEAUTY

体臭ではなく、汚臭で満たされた柑橘とスパイスとハーブと花と木の香り。これが色男の肌に舞い落ちた瞬間、ハーバルグリーン(ガルバナムとバジルとセージとアルテミシア)の輝きと共に、きらびたる五彩のオーラを解き放つのです。

官能的な花々が、ラベンダーとトンカビーンと混じり合い、フゼアの香りで包み込んでくれます。そんな中、シダーやカーネーション、オークモスのクリーミーさと溶け合い高級石鹸のようなエレガンスを満ち広がらせながらも、アニマリックなクミンとムスクとレザーが野性味を発散させていくのです。

スーツのジャケットの代わりに、レザージャケットで合わせるようなロマンティックなフォーマルスタイルを楽しむ男性にピッタリな、現在のディオールメンに必要な〝見えないワードローブ〟と言えます。

オリジナルボトルは焦げ茶色のラグビーボールのようなシルエットでした。しかし1999年にニューボトルになりました。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ほとんど無名の「ジュール」(フランス語で恋人の意)はかつてないほど大胆で無謀なフゼア調。隠し味にシダーを使ったセージのトップノートが楽しめるか否かは、セージの香りがかぐわしく感じるか、尿のように感じるかによるかもしれない。だがそれほど単純ではない。私は後者の方だが、それこそが私のジュールを愛する理由である。」

「キャロンの「ヤタガン」やイヴ・サンローランの「クーロス」のように、トイレの扉を閉める必要もないくらい、恋人が親密に思える香り。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:ジュール
原名:Jules
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:ジャン・マーテル
発表年:1980年
対象性別:男性
価格:不明


トップノート:アルテミシア、キャラウェイ、ラベンダー、ベルガモット、ブラックペッパー
ミドルノート:シクラメン、カーネーション、サンダルウッド、バジル、ジャスミン、シダー、ローズ
ラストノート:ロシアンレザー、ヒマラヤスギ、トンカビーン、ムスク、オークモス、アンバー