トレンチコートは少女の戦闘服です。
アニー・コーデ5 トレンチコート
- ベージュのトレンチコート
- ベージュのブラウス
- ブラウンニット、ロングスリーブ
- アーガイルチェックのミニスカート
- ブラウン・ローファー
- ベージュと赤のスカーフ
トレンチコートには猫背が似合う。そして、トレンチコートには少しくらいサイズ感がチグハグでもそれはそれで魅力的に見えるもの。だから、お金がなくて、気の利いたコートがない場合は、どんなブランドのものであろうとも、トレンチコートであるならば、それなりにお洒落にみせることが出来るのです。
そして、そんなトレンチコートに慣れた後に、ちゃんとしたトレンチコートを手に入れると、トレンチコートの真髄が容易に見えてくるのです。安いコートはその人に張り付き、高いコートはその人と程よい距離を保ってくれます。良いコートは肌に吸い付くのではなく、肌から離れようとします。それはちょうど空気がその間に入っているような感覚になります。
少女が大人になるとき・・・あなたはどんな服を着てたの?
トレンチコートを着た少女が大人になる瞬間を、二つの喪失と共に描いたこの作品の素晴らしさは、物語そのものにあるのではなく、ジョアンナ・シムカスという後数年もすれば、全く未練もなく女優を引退する女性のもっとも魅力的な一面を切り取ったところにあるのです。
1968年という五月革命の最中にある激動のフランス・パリに生きる少女が大人の女性になる物語。世界中の若者が良くも悪くも躍動していた時代の記録が、映画という作り物の世界の中からも確実に感じ取ることが出来ます。アニーが夜中に歩き回るように、私達も、60年代のフランスの夜の空気を体感します。
そして、少女がトレンチコートを着て、背伸びをして、夜中の街をほっつきあるき、一人の初対面の男性と初めてのキスを交わし、さらに全く違う男性の前ではじめてトレンチコートを脱ぐ瞬間。私たちは、ふと思い起こすのです。〝私が女になった時、私はどんな服を脱いだのだろうか?〟と・・・