むき出しのフランスパンを持ってパリを歩きたい。
アニー・コーデ3 ステンカラーコート
- アースカラーのステンカラーのロングコート
- アースカラーのウールのインバーテッドプリーツスカート
- ローゲージのベージュのウールセーター、ロングスリーブ、クルーネック
- ダークブラウンの細ベルト
- ベージュのフラットシューズ
焼きたてのフランスパンの香りに包まれながら、かじりつきながら歩くアニー。トレンチコートだけでなく、ステンカラーのウールのコートもすごく魅力的です。
トレンチコートの魅力を感じ取る絶好の対比です。このステンカラーコートと見比べてみましょう。前者はミステリアスに大人っぽく、後者は素直な若々しさに包まれている違いが見えてきます。
スウィンギング・ロンドン風ミニワンピ
アニー・コーデ4 オレンジ・ワンピース
- オレンジのハイネックノースリーブワンピース、ネックラインにブラックライン
- ベージュのフラットシューズ
- 鼈甲のめがね
物語の中でほんのちょっとしか登場しないこのファッションが、とても魅力的です。まさにスウィンギング・ロンドンとフレンチ・シックを掛け合わせたような着こなしです。そして、こういうカラフルなファッションもアニーにはとても似合っています。
何度も言うのですが、ジョアンナ・シムカスの魅力は、いかにもファッション・モデルがオシャレな服を着ているという感じではなく、センスよく服を着こなせている所にあるのです。
何も持たずにトレンチコートだけ着て、夜中のパリを歩く。
歩きタバコで夜中のパリをほっつき歩くアニーは、とても危なかしいです。猫を殺すスペインから来た浮浪者や、羊の品評会で優勝した中年男性、資本論が好きな黒人、むっつりスケベそうな中年医者に囲まれ、まるで狼の中の赤ずきんちゃんの様相です。しかし、この〝危なっかしい〟時のトレンチコートの着こなしが、抜群に良いです。
トレンチコートとは、中身が問われるファッションです。ちらっと見える部分だからこそその部分が強調されます。
特に、バーバリーやアクアスキュータムのような裏地が重要な類のコートには、中身がミニマルであることが重要です。バーバリーチェックの中にこそアースカラーでシンプルにまとめるべきであり、間違ってもチェックの裏地にチェックは重ねません。その意味において、アニーのスタイリングは、チェック・イン・チェックなのでかなり上級の着こなしなのです。