グレース・ケリーのホワイトドレス
価値ある宝石をつけたからといって、それで女が豊かになるわけではない。
ココ・シャネル
黄金の伝染性の輝き、弱くて財産に埋もれているような人たちが発散する慎みのない輝きなど、彼女(ココ・シャネル)はいっさい身につけなかった。
シドニー=ガブリエル・コレット(フランスの女性作家。オードリー・ヘプバーンを発掘した人)
ココ・シャネルによって、本物と偽物を混ぜ合わせたイミテーション・ジュエリーが上流階級で流行すると、シャネルは逆に本物の宝石だけをつつましく身につけたという。〝量より質よ〟と言わんばかりに。しかし、このイミテーション・ジュエリーの流行こそが、ファッションにおける高級品でないとダメという毛皮崇拝主義のような感覚を過去のものにしたのです。
1920年代にすでに、ファッションの大衆化への種は撒かれていたのです。ファッションとは、先祖代々の財力を背景にしたロイヤル・ファミリー至上主義ではなく、寧ろ、そんなのはただ生まれながらの富の上に胡坐を掻いている人間の卑しさそのものであって、自分自身の力で生きる女性をより輝かせるものこそが、ファッションの存在価値であるとシャネルは考えたのでした。この作品のグレース・ケリーが、派手な宝石に身を包んでいないのもそういったジュエリーとの向き合い方から生まれた必然だったのでしょう。
グレース・ケリー・ルック6 ロマンス・ルック
- 白のパーリーホワイトシフォンドレス。ストラップレス
- ダイヤの首飾り。イヤリングなし
本作の中でも、ブルードレスと双璧を成すアイコニック・ドレスです。本当にグレースの美しさが引き立つドレスです。