ボンドムービー史上はじめての〝純粋悪のボンドガール〟
本作で最初から最後まで改心しない悪党ゼニア・オナトップを演じたファムケ・ヤンセン(1964-)は、スーパーモデルから女優になることに成功した数少ない人です(1984年にオランダからアメリカに移住し、有名なモデル事務所エリートに入り、イヴ・サンローラン、シャネルなどのモデル活動をはじめる)。
通常、身長が182cmもあるということが、スーパーモデルとしての適性を生み出しても、女優としての可能性を妨げることになります。それはその長身のために、相手役の男優はリーアム・ニーソン級の長身の俳優じゃないと釣り合いがとれないからです(ちなみに彼女の靴のサイズは29cm。そのため、本作においても全てのシューズが特注で制作されました)。
そういうハンデを乗り越えるため、彼女はスーパーモデルの肩書きを洗い流すために、まずコロンビア大学で文学を専攻し、卒業後、女優活動に専念したのでした。
本作のイメージとは違い、彼女は、古き良きハリウッドの名作『新婚道中記』(1937)のような作品に出演したいと渇望し、メリル・ストリープとジャック・ニコルソンを崇拝する人でした。
フェラーリF355 GTSに乗るゼニア・オナトップ
「Then,you are on a top.(次は、君が上になって!)」という言葉をもじる名を持つゼニア・オナトップの存在感が、本作を大ヒットに導いたことは間違いありません。
この『007 美しき獲物たち』のグレイス・ジョーンズの焼き直しではあるが、表情がいちいち素晴らしいファムケ・ヤンセンに『007 私を愛したスパイ』のナオミ以来のときめきを覚えた男性たちも多いはずです(もし彼女に、ナオミのようなビキニで登場するシーンがあったら歴代トップ5に入るボンドの宿敵になったはずです)。
ゼニア・オナトップ・ルック1
ブラックドレス
- ブラックドレス、ベルベットとレース製
- ブラック・ベルベットのボレロジャケット
- ブラックサテンヒール
ゼニア・オナトップ・ルック2
サテンスーツ
- 黒のホースヘアーの女優帽(キャプリーヌ)
- シルバーカラーのサテン生地のスカートスーツ
- ブラック・ホルタートップの編み上げのビスチェ
- ブラックグローブ
- 黒タイツ
- ブラックハイヒールパンプス
ニュー・マネーペニー=サマンサ・ボンド
本作よりマネーペニーは三代目になりました。サマンサ・ボンド(1961-)の登場です。ジェームズ・ボンドにとって同年代であり、長い付き合いのマネーペニーは、唯一、気心知れた友達のような存在とも言えます。
そして、マネーペニーにとってボンドはイケメンの弟のようであり、息子のような存在なのです。そんなマネーペニーをピアース・ブロスナンのボンド時代にずっと演じることになるのが、奇しくも同じ苗字を持つ彼女サマンサ・ボンドなのです。
15歳までバレリーナを目指した生粋のロンドン娘であり、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの一員としてジュディ・デンチ(本作のM)に鍛え上げられた一流のシェイクスピア女優であり、1999年にはトニー賞の主演女優賞にノミネートされているほどの実力者です。
作品データ
作品名:007 ゴールデンアイ GoldenEye(1995)
監督:マーティン・キャンベル
衣装:リンディ・ヘミングス
出演者:ピアース・ブロスナン/イザベラ・スコルプコ/ファムケ・ヤンセン/ショーン・ビーン/アラン・カミング
- 【007 ゴールデンアイ】五代目ニュー・ボンド=ピアース・ブロスナン登場。
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.1|五代目ボンド=ピアース・ブロスナン登場
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.2|ブリオーニを着るピアース・ブロスナン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.3|イタリアンスーツがニューボンドの戦闘服
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.4|ピアース・ブロスナンとオメガとBMW
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.5|サンローランの赤リップの殺し屋=ファムケ・ヤンセン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.6|ニューM=ジュディ・デンチとファムケ・ヤンセン
- 『007 ゴールデンアイ』Vol.7|KENZOを着るイザベラ・スコルプコ