エレニシア
原名:Ellenisia
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:スティーブ・デメルカード
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円
男の潜在能力のリミッターを振り切らせる女の香り
ペンハリガンから2005年に発売された「エレニシア」は、フレグランス・リソーシズ社のスティーブ・デメルカードにより調香されました。この香りの名〝エレニシア〟とは、ケルト語の〝Elen〟=妖精に由来するという説明が公式には成されているのですが、ケルト文化においてElenという言葉は妖精を意味するものではありません。
この説明は、イギリス本国においては妖精=ニンフという言葉が使用されています。一般的に、日本人が想像する妖精とはフェアリー=少女なのですが、ニンフとは、イギリスの画家ジョン・ ウィリアム・ウォーターハウスが描くような絵画(上部の絵)の中の誘う美女たちのイメージです。
しかし、このElenはそういったニンフではありません。
それはかつてローマ帝国がブリタンニア遠征を行いイギリス南部に属州を設置した4世紀にまで遡るお話です。のちに西ローマ帝国の皇帝となるマグヌス・マクシムス(335-388)が、ローマにて、エレンという名の謎の美女と出会いました。
ブリタンニア遠征で将軍として転戦する中においても、ただひたすら彼女の面影を捜し求め、ウェールズ地方で遂にウェールズの王の娘だったエレンと再会し、結婚し、ブリタンニア王となるのでした。そして、その後、ローマに攻め入り、皇帝にまでなるという=ケルト人の伝承「マクセンの夢」からきています。
それは、男の潜在能力のリミッターを振り切らせる〝幸運の女神〟のお話であり、そのように男性を夢中にさせるエレンからはどんな香りがしたのだろうかという想像により生み出された香りなのです。
男性にとって、まぶしい太陽のような女性の香り
男たちを夢中にさせる女性の香りは、マンダリン・オレンジがふわっと広がり、そこに降り注ぐバイオレトフィズのシャワーからはじまります。すーっと透き通るようなフレッシュグリーンのきらめきに満たされているうちに、うっとりするようなホワイトフローラルが到来するのです。
清らかなガーデニアと艶やかなチューベローズという相反する二つの花が、素肌にウインクするようにロマンティックに香りを広がらせてゆく中、さらにジャスミン、ローズ、イランイランも加わってゆきます。
ここからがこの香りのハイライトなのですが、ハーモニーではなく、天真爛漫にそれぞれの花々が主張する香りに、甘くて淡いバニラとサンダルウッド、ローズウッドが神秘のヴェールをかけていきます。そして、まるで天上から舞い降りたウエディングブーケのような香りに満たされてゆくのです。
最後にそのウエディングブーケの中に、甘露なプラムの果蜜が振りかけられてゆくのです。それは一遍の隙もない淑やかな美女が、笑顔を見せた瞬間に感じさせる、あどけない少女の残像のような、メランコリーな余韻で酔わせてくれるようです。
男性を出世させる女性の秘密。それは、その女性を追いかけさせ、どこまでも追いかけさせる気持ちにさせてくれる『北斗の拳』のユリアのような存在なのです。果てしなく遠くにいるような存在を追い求めるからこそ、男性は自己陶酔し、使命感に燃え、潜在能力のリミッターを振り切ることが出来るのです。
ケンシロウは、ユリアがいたからこそ、世紀末の救世主になることが出来たのです。
香水データ
香水名:エレニシア
原名:Ellenisia
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:スティーブ・デメルカード
発表年:2005年
対象性別:女性
価格:50ml/17,600円、100ml/24,750円
トップノート:マンダリン・オレンジ、ヴァイオレット・リーフ
ミドルノート:ジャスミン、ガーデニア、ローズ、チューベローズ、イランイラン
ラストノート:プラム、バニラ