ボーイフレンド・ブルゾンを着るリズ
当時の夫エディ・フィッシャーが登場します。そして、彼のグレーのブルゾンをボーイフレンド・ブルゾンとして着ます。エディに関して監督のダニエル・マンが「フィッシャーは演技ひとつできなかった」と回想しているコメントがとても面白いです。
珍しい横使いのミンクのコート
グロリア・ルック3 ミンクコート
- Reiss & Fabrizioのブラウンのミンクコート
- 黄金のボックス型クラッチ
- サーモンピンク色のラメ入りハイヒール・パンプス
私の大好きなコートは、ある映画に影響されて作ったのよ。じつはその頃、私はエリザベス・テイラーの『バターフィールド8』っていう映画が好きだった。それをちょっと真似してみました。
私がまだ20歳代だったその頃は、ミンクは縦使いだったんですよね。でも、その映画では、横使いになっている素敵な黒ミンクを、エリザベス・テイラーが着ていたの。・・・そのコートを見た時、「あっ、黒いミンクの横だ」と思ったの。それが素敵だと思って、すぐ作ったわね。すぐ作れるお金が当時はあったのよね。・・・それと、その映画でエリザベス・テイラーは、「サンビーム・アルパイン」っていうスポーツカーに乗ってたの。・・・(当時の夫に)それは買ってもらいました。
『凛として、ひとり』淡路恵子
淡路恵子という女優の眼力の恐ろしさ。そして、この作品が当時の世界中の女性に与えた影響力の強さを感じさせます。
オシャレなレッドドレスとテーラードスーツ
グロリア・ルック4 テーラードスーツ
- グレーのテーラードスーツ
- ブラウンの半袖カットソー
エリザベスがこの撮影でニューヨークに来たときは、およそ魅力的とは言えなかった。太りすぎていたし、眼のまわりにはくまができていたしね。彼女が映画の中ですばらしく見えたのは、いろいろな助けを借りたおかげだよ。『バターフィールド8』のなかで着ていた衣装は、しょっちゅう直さなければならなかった。体形を整えるために、特殊な肌着やコルセットも使った。彼女の体つきは、もう若々しく引き締まってなどいなくて、早くも堂々たる中年女性のようだった。それに、彼女はコンタクトなしでは何も見えなかったはずだ。近視だったからね。
ダニエル・マン
「女は男に犠牲を強いられるとその分、男の愛を確信するのよ」という名言を吐き、エディ扮するスティーブに、彼女のノーマに着替えを持ってくるように指示します。
全身赤一色で、薄手のセーター。パテントレザーベルト、サーキュラースカートのアンサンブル。このノーマのファッションが素晴らしいです(ヘアスタイルもキュート!)。ある意味、彼女のファッションは、リズよりも魅力的な要素が多分にあります。
ちなみにノーマを演じるスーザン・オリバー(1932-1990)という女優は、日本ではなじみのない女優ですがユニークな経歴の持ち主です。ジャーナリストの父親と著名なハリウッドの占星術師の母親の子として生まれ、わずか15歳で高校の最終学年を終える秀才で、1948年から49年にかけて東京のカレッジに通い、生涯、日本文化と仏教に興味を持つようになりました。
1959年2月にパリーニューヨーク間で経験した飛行機アクシデントが彼女に飛行機恐怖症を生みました(同年同月、22歳のロックンローラー・バディ・ホリーが飛行機事故で死去)。しかし、それを克服しようと努めているうちに自身で飛行機を操縦するようになり、ついにニューヨークーモスクワ間を単独飛行しようとしたのでした(冷戦時代真っ只中だったのでソ連政府の許可が得られず、デンマークで断念)。さらに1977年には、日系人俳優を使い『カウボーイさん』という西部劇を製作・監督しています。