イレヴンス アワー
原名:Eleventh Hour
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/26,070円、100ml/38,170円
公式ホームページ:バイレード
地球上で最後のフレグランス
2006年に創立されたバイレードから、2018年に発売された「イレヴンス アワー」は、ジェローム・エピネットによって調香されました。この名の意味は、英語で「最後の瞬間」を意味します。
バイレード発祥の国スウェーデン出身の冒険家エラ・マイヤール(1903-1997)は、ガウタマ・シッダールタ(釈迦)誕生の聖地ネパールが王政復古を果たし、国境を開放した1951年に訪問した数少ない西洋人の一人でした(ヒラリーがエベレストを初登頂したのは2年後の1953年)。
エラは、1924年に男性に混じりオリンピックのヨット競技に出場し、1930年代には、スキー選手として活躍しました。更にソ連支配下にあったイスラム圏の国々やアジアの国々に侵入し、その実情をレポートしたり、タクラマカン砂漠横断などの冒険をした1930年代のスーパーウーマンでした。そんな彼女が撮影したネパールの山岳地の風景からインスパイアされ生み出されたのがこの香りです。
私は前人未到の地に足を踏み入れることに至上の喜びを感じていました。そして、ある時、その喜びは、人類が失ってしまった大自然との調和を見つけ出していることから生まれているということに気づいたのでした。
エラ・マイヤール
温暖化が加速し、海が大地を包み込んでゆくときに、最も高い場所が最後の避難場所となります。かつて人類に対して、住むことが出来ず、命を奪う難所であった地が、世界の終わりの瞬間、人類を救う最後の救済の地となるのです。そして、海はいつも終わりを知っているのです。
「イレヴンス アワー」とは、終わりに向かい進む秒針の音であり、地球上で最後の香りなのです。
人類最初の香り=イチジクの香り。
どこからともなくやって来たジューシーなベルガモットを、ネパール産のペッパーであるバンティムール(華北山椒とほぼ同じ)が、完膚なきまでのピリピリしたスパイスで圧倒するようにしてこの香りははじまります。
そんなスパイスの氷山に、温かく甘いスモーキーなラム酒が降り注ぎます。そして、熟したクリーミーなイチジクが人類最初の香りだったその存在感を、人類最後のこの香りのために示すのです。
果実にかぶりつかんとするペッパーを飼い慣らそうとする中、パウダリーなキャロットシードがフルーティーなプラムを含んだ粉雪を舞い散らせます。
どうやら我々は、花が存在しない世界で今「最後の瞬間」が訪れるのを待っているようです。
トンカビーンとラブダナムが、スモーキーなタバコの側面をチラつかせながら、香り全体にアップルサイダーのような爽快感を与えてゆき、心は不思議な高揚感に満たされてゆきます。
香水データ
香水名:イレヴンス アワー
原名:Eleventh Hour
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2018年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/26,070円、100ml/38,170円
公式ホームページ:バイレード
トップノート:ネパールペッパー、ベルガモット
ミドルノート:プラム、ラム、イチジク、キャロットシード
ラストノート:カシミアウッド、シダー、トンカビーン、イソEスーパー、オリバナム、ラブダナム