ボンドが肉食男子の色気なら、Qは草食男子の色気
ベン・ウィショー(1980-)演じるQこそ、21世紀に生きる日本の草食男子にとって最高のスタイル・アイコンです。文系男子の魅力です。ボンドを前にしても、彼の持っていない魅力を武器に決して存在感が食われないベン・ウィショー。ヘアスタイルを含め、もう彼のファッションを見ているだけでも、この青年は、Qというよりも、ボンドのスタイリストなんじゃないか?というほど私を痺れさせてくれます。
オメガのシーマスター300を渡して一言。「これで時間が分かります」って秘密兵器でもないでもないじゃん?という眼で睨み付けるボンド。イチイチ、一言多くてゲイ的な可愛らしさを発散させているベンは、女性にとって一番部下にしたいタイプの青年だと思います。それでいて伝統的Qポジションである、ボンドにとことん迷惑をかけられる役柄を嬉々と演じているのです。本作のベン・ウィショーはボンド・ガールより遥かにカワイイ、ボンド・ボーイなのです。
草食男子〝Q〟スタイル1
- UnivoのプラスティックU5眼鏡。
- ケンゾーのコバルトブルー、グラフィック・ツリー・シャツ。100%コットン
- ダークパープルタイ
- 茶グレイのスーツ
史上最強のモンクシューズ「クロケットのキャンベリー」
葬儀のシーンで、ボンドはブラックスーツを着ているのですが、そのお互いの喪服のブラックが、お互いにとって欲情のカラーに変わっていく瞬間の面白さ。ブラックスーツのイメージは、特に日本においては冠婚葬祭なのですが、そういうイメージを逆転させる着こなしの時代が、今やって来ている感じがします。
ファッション誌などで、これはNGですと言われていることを徹底的に洗練させていくことが、これからのファッションの楽しみ方だと思います。例えば、ブラックスーツを着て、女性とデートしてみる。そして、「え?なんで?」なんて思われつつも、ダメな点を修正していく。そこで靴やシャツやネクタイの色、もしくはそもそもサイズをタイトにするべきとか・・・。もうスマホで、SNSやインスタなどからのまとめファッションを見て予習する時代なんて、退屈すぎます。そんなのに提案されてるスタイルなんて、イオンなんかに行けばそこらへんで見れるユニフォームみたいなスタイルだからです。列からはみ出した所にファッションの面白さがあるのではないでしょうか。
ジェームズ・ボンド・スタイル3 ローマ・スーツ
- トム・フォードのブラック・ダブルブレストコート。ブラッシュド・ウール。膝丈、胸のラインを大きくきれいに魅せるように立体的なカーブがつけられる。アルスターカラー、8ボタン
- トム・フォードの3ピーススーツ。トム・フォードを代表する「ウィンザー」。大き目のピークド・ラペルと大き目のフラップが特徴。ブラックヘリンボーン。ストロングショルダーに対して、急激に絞りの入ったウエスト。ウール110’s。トム・フォードお気に入りのシルエット「バッキンガム」と似ている
- トム・フォードの白シャツ、スリムフィット、白コットンポプリン生地、クラシックカラー、メタル・バー付き。ドクター・ノー・カフス
- トム・フォードのシルクのブラック・オン・ブラックタイ。幅9,5cm。剣先広め
- トム・フォードのサングラス、スノードンFT0237
- デンツの黒レザー手袋(スカイフォールでも着用)
- クロケット&ジョーンズ「キャンベリー」モンクスタイル
ジェームズ・ボンド・スタイル4 ディオールを来たJB
- 防寒ジャンパー、ディオール・オムのネイビーブルゾン
- エヌピールのグレーのタートルネック。1930年代創業以来、英国の老舗カシミアニットブランド
- スキーハット
- アニェルの革手袋
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