チャンス オー ヴィーヴ
原名:Chance Eau Vive
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2015年6月
対象性別:女性
価格:50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:シャネル
熟れたくだものを放り投げた香り
1996年の「アリュール」(2001年に発売された「ココ マドモアゼル」は「ココ」のフランカーである)以来となるシャネルの女性用の新作フレグランスとして、2002年に発売された記念すべき「チャンス」シリーズの第四弾として、2015年6月に発売されました。
その名の「オーヴィーヴ」とは「生命力あふれる水」という意味であり、この香りを手に取るものは、活力に満ち溢れる!というメッセージが込められています。より分かりやすく言えば〝元気ハツラツ!チャンスNo.4〟。
しかし、この香りに関して何よりも興味深いのは、シャネルの四代目調香師オリヴィエ・ポルジュによる〝はじめてのチャンス〟であり、前任者である父親のジャック・ポルジュが生み出したチャンスを、息子のオリヴィエが継承した香りであるということです。
二人の女性が向かい合いながら、この香りのキャンペーン・フィルムのようにグレープフルーツとブラッド・オレンジをボーリングのように投げ、衝突させ、グレープフルーツが勝利する!爽快なトップノートからはじまります。
やがて、勝者は早々に退場し、その後に、敗者復活の儀式として、ブラッド・オレンジの甘い香りに、ぶつかったピンが倒れるようにムスキーなジャスミンとベチバーが押し寄せてきます。〝柑橘系が主役のチャンス〟です。
ラストは、ムスキーなジャスミンを、アイリスとシダーがパウダリー・ウッディに包み込み、スキっと上品にドライダウンしていきます。
香りよりもキャンペーンで攻めた典型的FF
この香りは、21世紀に入り、その香りの魅力以上にキャンペーン・フィルムの魅力で、市場を制圧しようとするファッション・フレグランス(FF)の人海戦術の典型例とも言えます。
ジャン=ポール・グード(1940-)によるキャンペーン・ムービーは効し難いほどに魅力的です。グードと言えば、グレイス・ジョーンズを被写体に1978年に発表された「加工/アップデートされたグレイス」が有名ですが、相変わらず、そのぶっ飛んだ発想力は健在です。
この香水瓶に生命を与えるが如くチャンスボトルでボーリングする4人のシャネル・モデル達の映像は、地球上ではない、宇宙空間のような『バーバレラ』的世界観を彷彿させます。
4人の美女は、オランダ出身のライアン・ヴァン・ロンバエイを筆頭に、フランス出身の元ヴィクシーエンジェルでもあるシンディ・ブルーナ、オランダ出身のロミー・ショーンベルガー、そして、フランスのマルティニーク島出身の元ヴィクシーエンジェルのシグリッド・アグレンです。彼女たちが身を包むシャネルは、2015年SSオートクチュール・コレクションで発表されたものでした。
2007年に亡くなったシャネルのアーティスティック・ディレクター・ジャック・エリュによる円形のボトル・デザインが本当に素晴らしいです。
ちなみにルカ・トゥリンは、この香りについて「忘れたほうがいい香り」という評価を下しています。
香水データ
香水名:チャンス オー ヴィーヴ
原名:Chance Eau Vive
種類:オード・トワレ
ブランド:シャネル
調香師:オリヴィエ・ポルジュ
発表年:2015年6月
対象性別:女性
価格:50ml/14,520円、100ml/20,350円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:ブラッド・オレンジ、グレープフルーツ
ミドルノート:ジャスミン、ホワイトムスク
ラストノート:ベチバー、アイリス、シダー