ベル レスピロ
原名:Bel Respiro
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
草原に輝くパリジェンヌの香り
2007年にシャネルのプレステージ・コレクションとして「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」がスタートしました。その最初の10種類の香りのひとつとして、「ベル レスピロ」(オード・トワレ)が、シャネルの3代目専属調香師ジャック・ポルジュによって調香されました。
「ベル レスピロ」(イタリア語で「深呼吸」「美しい呼吸」の意味)とは、1920年に、ココ・シャネル(1883-1971)が、パリ郊外のギャルシュに購入した別荘の名称です。この別荘はベージュとブラックでカラーリングされていました。
それは、1919年12月22日に交通事故死した、最愛の人アーサー・〝ボーイ〟・カペルへの想いを断ち切るために、休養の意味も込めて購入された安息の場所でした。シャネル自身はこの別荘を「ノアドココ(ココナッツの意味)」と呼んでいました。
『不死鳥の香り』。最愛の人を失い、更にその愛に準じる香り
ガルバナムが呼び覚ます新緑の息吹と共に、タイム、ローズマリー、バジルといったアロマティックな香りがそよ風に運ばれ、草原の輝きを生み出すようにしてこの香りははじまります。
パウダリーな透明感に満ちたヒヤシンスを中心とするライラック、ジャスミンなどのフローラルが、カーネーションのスパイシーなアクセントを加えながら、太陽の光の下でライトグリーンに染まる、ほのかに甘い草原の優しさ(ローズによるソーピーィーさも伴った)に包まれていきます。
そして、ムスキーな温かさの中に、レザーがほんのりと加えられ、本来は〝グリーン〟という言葉からは最も程遠いはずの洗練と新たなる官能を表現したエメラルド色の〝草原の輝き〟で満たしてくれます。
それは、最愛の人を失い、その傷心を胸に秘めながらも、女性としての魅力をさらに開花していく〝女性の涙で育てられた新緑の香り〟=〝不死鳥の香り〟なのです。
ワイン用語として使用される〝ガリーグ〟という、地中海沿岸地域の灌木地帯の石灰岩の丘陵に茂る、タイムやローズマリー、ローリエなどの野性ハーブの香りを、フレグランスで表現した珍しい側面も兼ね備えています。
2016年9月には、オード・パルファム・ヴァージョンが発売され、これが現行品となっています。
特にトップノートがN°19とよく似ていると指摘される香りです。しかし、この香りは、グリーンノートではなく、クリーンノートとでも呼ぶべきでしょう。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「2007年前半にシャネルが発表した6種類の香水の中でも、「ベル レスピロ」(あえて訳せば「楽な呼吸」か)は、もっとも気軽につけられる香水だろう。」
「この香水で私が好きなところは、グリーン・ガルバナムの香りが爽やかに吹きぬけるトップノートから、頬を撫でるそよ風のフローラルのミドルノートへと移行する瞬間だ。」
「この香水で私の気に入らないところは、その後のドライダウンが味気ないところ。確かによくできているが、あの「ロードゥイッセイ」がそうだったように、実は香水をつけるのがあまり好きではない女性たちに支持されるだけで終わってしまいそうだ。むしろ、男性におすすめの香水かもしれない。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ベル レスピロ
原名:Bel Respiro
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ
発表年:2016年
対象性別:女性
価格:75ml/33,000円、200ml/57,200円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:ガルバナム、ローズマリー、タイム、バジル、グラス
ミドルノート:水仙、ライラック、ヒヤシンス、ハニーサックル
ラストノート:ベチバー、レザー