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キリアン

【キリアン】エンジェルズ シェア(ブノア・ラプーザ)

キリアン
©Kilian
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エンジェルズ シェア

原名:Angels’ Share
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:ブノア・ラプーザ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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キリアン故郷に帰る

©Kilian

もしあなたが女性に恋に落ちるならば、とんでもなく美しい女性の外見に恋に落ちるのではなく、忘れられない何かがある女性の一面に恋に落ちるはずです。どこか不完全だった部分が忘れられず、それが恋に落ちる要因になるのです。

私が香りを作るときに最も重要視するのは、香りの心地よさ(ハーモニー)ではなく、香りの中に潜む、忘れられない不完全な要素なのです。

キリアン・ヘネシー

日本においてもファッション感度の高い男女のみならず、より一般的なラグジュアリー・フレグランス・ブランドとして定着しつつある「キリアン」。このブランドの創業者であるキリアン・ヘネシーはその苗字が示す通り、世界最大のコニャック生産企業ジャズ・ヘネシー&カンパニーの創設者であるリチャード・ヘネシーの子孫です(1987年にルイ・ヴィトンと合併し、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)となる)。

そんなヘネシー一族の貴公子である彼が、自身のルーツであるコニャックとジンを題材にしたコレクション「ザ リカーズ」をローンチしたのでした。2020年10月16日に発売されたこのコレクションは二つの香りから成ります。そのうちのひとつ「エンジェルズ シェア」=〝天使の取り分〟は、ブノア・ラプーザにより調香されました。

全く新しい領域に到達したいと考えたキリアン・ヘネシーは、今まで一切接点のなかった調香師をあえて選び、18ヶ月の歳月をかけこの香りを創造したのでした。

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本物のお酒の香りを身に纏いたい人など誰もいない

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オーク樽の中でコニャックが熟成し、時間が経つにつれて蒸発していきます。この目減りする分量のことを〝天使の取り分〟と呼びます。私はヘネシーのコニャック貯蔵室での幼き日の記憶を香りにしたいという願望がありました。

しかし、もしあなたが実際に貯蔵庫に行ったなら、〝なんて臭い香りなんだ〟と言うはずです。この香りはひとつのチャレンジなのです。なぜなら私はお酒の香りを作りたいのですが、誰もお酒の香りがする人に周りを歩き回って欲しくないことも私は知っています。だからこそ、この香りは実に難しかった香りなのです。

キリアン・ヘネシー

コニャックの香りではなく、コニャックを飲むという行為が生み出すファンタジーと、コニャックを飲みたくなる香りをキリアン・ヘネシーは創りたいと考えました。

この香りのはじまりはそのまま〝天使の取り分〟と呼ばれる蒸発したコニャックとオーク樽の香りから始まります。実際にコニャックから抽出されたエッセンスは喉越しをコニャックが通り過ぎるような香りを放ちます。

やがて、シナモンとトンカビーンがコニャックとブレンドされ、シナモンロールのようなグルマンな香りへと転換させていきます。

そして、サンダルウッドと(ヘーゼルナッツとチョコレートが強く香る)プラリネ、バニラがアマレットのようなドライダウンで香り全体を包み込んでくれます。

天に向かって進んでいく、取り分を瓶詰めした温かみのある香り。

チャンドラー・バール

この香りこそ、2007年から13年の間に、キリアン・ヘネシーが数多くの香りを継続して創造し続けてきた過程で、自然に蒸発していった香りの数々が融合した〝天使の取り分〟が戻ってきた香りなのかもしれません。つまりは私たちへの〝キリアンズ・シェア〟の香りなのです。

エルメスの「アンブレ ナルギレ」、メゾン・フランシス・クルジャンの「バカラ ルージュ540」と比較される香りです。

ロックグラスを彷彿とさせるアールデコ調のボトルデザインと液体のカラーは、間違いなく女性から男性にプレゼントしてはずれのないフレグランスNo.1と言い切っても過言ではないはずです。

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香水データ

香水名:エンジェルズ シェア
原名:Angels’ Share
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:ブノア・ラプーザ
発表年:2020年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:コニャック
ミドルノート:シナモン、トンカビーン、オーク
ラストノート:プラリネ、バニラ、サンダルウッド