香水データ
香水名:アンジュ デモン Ange ou Demon オード・パルファム
ブランド:ジバンシィ
調香師:オリヴィエ・クレスプ、ジャン=ピエール・ベソワール
発表年:2006年
対象性別:女性
価格:日本販売終了
トップノート:カラブリア産マンダリンオレンジ、サフラン、タイム
ミドルノート:百合、オーキッド、イランイラン
ラストノート:トンカビーン、バニラ、ブラジル産ローズウッド、オークモス
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ルカ・トゥリン
★☆☆☆☆ フローラル・オリエンタル
天使か悪魔か、という意味深長な名前。ボリス・ヴィアンの幻想小説のひとつに、カクテルピアノという機械が出てくる。曲に合わせてグランドピアノの内部でカクテルが作られ、できたカクテルは側面の小窓から供される。もしもカクテルピアノに、リキュールの代わりに最近の香水を30種類ほど入れ、2歳児に好きなように鍵盤を叩かせたら、この香水になるかもしれない。― ルカ・トゥリン
『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房
香水についての解説
「アンジュ デモン」という名の意味はフランス語で「天使か悪魔」という意味です。2005年3月にジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに就任したリカルド・ティッシの世界観を反映させたフレグランスとして2006年10月に発売されました。
無垢な美しさに包まれた天使のような女性が、やがて見せる悪魔のようなミステリアスな雰囲気を、フロリエンタルの香りを通して表現しています。
芳醇なマンダリンオレンジの爽快感溢れる甘さからはじまり、すぐにスパイシーなサフランとハーバルなタイムが現れ、天使の光臨を告げます。しばし、神聖さに包まれるこの香りは、やがて悪魔の三重奏(清純の象徴である百合に、悪魔のようなオーキッドとイランイランがシロップのような甘さを携えてコッテリと絡み合う)が生み出す変化自在な甘き香りに、疲労感にも似た陶酔感を与えられるのです。そして、ラストにおいて一転するウッディとバニラが生み出す香り立ちが、たとえこの香りが幸せか不幸のどちらを導く香りであっても「もう虜になってもいい!」と思わせてしまう濃厚さで包み込んでくれるのです。
一度身に纏えば飽き飽きする人でも、数日後には、この香りを求め、やがては見も心も虜になるのだが、周囲の人々には、なぜこんな香りに夢中になるのか?と感じさせるまさにブラック・サバスな香りです。
オリヴィエ・クレスプとジャン=ピエール・ベソワールにより調香されました(ちなみにこのフレグランスの名は明らかにオリヴィエ・クレスプの代表作であるティエリー・ミュグレーの「エンジェル」を意図してつけられている)。シャンデリアのクリスタル・モチーフのボトル・デザインはセルジュ・マンソーによるデザインです。
イスラム教の国によっては「アンジュ オウ エトランジェ」=「天使か異邦人」という名で販売されました。
キャンペーン・モデルとして起用されたマリー・ストリース(1986-)は、父親が当時フランス首相だったドミニク・ド・ビルパン(2005-2007)だったのですが、両親がモデル業に大反対なこともあり、血統を隠しジバンシィのオーディションに望み、起用された後で大いに話題になりました。撮影はイネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディンによって行われました。