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トム・フォード

【トム フォード】ロンドン(ヤン・ヴァスニエ)

トム・フォード
©TOM FORD
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ロンドン

原名:London
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ヤン・ヴァスニエ
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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〝野生的でありながらエレガンスでもある〟香り

©TOM FORD

トム・フォードは、2013年7月にイギリスで最初の路面店(約8,000平方メートルの3階建て)をロンドンのナイツブリッジ地区のスローンストリートにオープンしました。

その記念として「プライベート ブレンド コレクション」から「ロンドン」という名の香りが、ロンドン店限定で発売されました(最初の六ヶ月間のみ。以後、世界発売)。スパイシーでアニマリックな香りは、ヤン・ヴァスニエにより調香されました。

トム・フォード自身がロンドンという街に対して感じている〝優雅で都会的な冷静沈着さと、スキャンダラスに肉欲に狂うさまの間の緊張感〟を表現する香りとして、〝野生的でありながらエレガンスでもある〟というジェームズ・ボンドとロックスターを混ぜたような香りを生み出したのでした。

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理性を失わせる媚薬とも汚物ともつかぬ匂い

©TOM FORD

アニマリックなスモーキーウードとトンキンムスクに漂うコーヒーとシガレットの香りである「ロンドン」は、とても複雑な香りからはじまります。

焙煎されたコーヒーと共に漂う酸っぱいクミン、ブラックペッパーとカルダモンのスパイシーさ、そして、サフランとバーチが合わさったアニマリックレザーな香りが、滑らかに溶け合うようにしてはじまります。

すぐにアニマリックなムスクにカストリウムが注ぎ込まれ、セクシーなのか、体臭なのか、悪臭なのか、理性を失わせる媚薬とも汚物ともつかぬ匂いに包み込まれていくのです。やがて、インドールの効いたジャスミンと共に、クリーミーなウードが荘厳さを押し広げてゆくのです。

この香りのテーマは、ロンドンという名を借りた〝動物性への回帰〟であり〝制限への決定的な忘却〟なのです。つまりは通常禁じられているものを、たっぷり詰め込んだ香りなのです。そして、その背景には、禁断の行為を戒めるような古くてカビ臭い教会のお香と厳かな聖歌が流れているのです。

もし、ある扉の前からこの香りがしたなら、絶対にドアのノブを回すことを躊躇するほど、鞭の音なのか?肉と肉が打ち据える音なのか?悲鳴なのか?歓喜なのか?分からぬ音が聞こえてくるそのドアの先にある世界に対する恐怖心と好奇心がせめぎあうはずです。

そして、なによりもこの香りが持つ不思議な魅力は、切り裂きジャックやシャーロック・ホームズを連想させる19世紀のロンドンの古い街並みと馬車を感じさせるところにあります。

ウードを愛する人、アニマリックな香りに興味がある人、マニアックな香りが好きな人には一度は嗅いで頂く価値のある香りです。

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香水データ

香水名:ロンドン
原名:London
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:ヤン・ヴァスニエ
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:クミン、サフラン、カルダモン、ブラックペッパー、コーヒー、コリアンダー
ミドルノート:インセンス、ラブダナム、ジャスミン、ゼラニウム
ラストノート:アガーウッド(ウード)、バーチ、シダー、ムスク、アミリス